税金の詳しい解説「税制について」

どうも、武信です。(No487)  

 

税制とは、「税金のかけ方や取立て方に関する制度」のことですね。  

 

この税制について、深く知ることができることを、今回の記事の主な目的とします。  

 

税制について、他の人とは差をつけた見方ができるようになるかもしれません。  

 

興味がある方は、続きをお読みください。  

 

約5000文字の力作記事になりました。  

 

 

1 税金で何をするか?

 

大前さんの「武器としての経済学」から、引用・まとめをします。  

 

景気回復のためには税金を下げるべきなのか、上げるべきなのか?どっちなのでしょうか?  

 

下げたら、財政破綻するのではないか?なぜなら税収が取れなくなるので。  

 

上げたら(例えば消費税など)、景気が冷え込むのではないか?  

 

この議論からは、「税金で何をするか?」が抜けていると、大前さんは言います。  

 

福祉国家と呼ばれる北欧では、国民負担率(個人が負担する社会保障費と支払った税金を合わせたもの)はデンマーク70.1%、フィンランド63.8%、スウェーデン56.0%、ノルウェー50.1%と、非常に負担が重いです。  

 

日本は43.2%であり、韓国は36.8%、アメリカは32.7%です。  

 

スウェーデンを例に取ると、国民の平均は56.0%ですが、労働者に限って言うと、実質収入の4分の375%を国に支払っています。  

 

国はこのお金を福祉、とくに子どもに使っています。  

 

スウェーデンも日本と同じく、1990年代後半に、深刻な少子化となりました。  

 

1998年には合計特殊出生率が1.5に落ち込みましたが、その後の政策により、2010年には1.98にまで回復し、さらに2014年では1.89と高位安定しています。  

 

スウェーデンでの子育ては、ほとんど金がかかりません。  

 

出産費用は国が負担し、育児休暇は両親合計で480日も取得でき、そのうち390日は給与の8割が補填されます。  

 

さらに、2年半以内に次の子を産むと、先の子の出産の休業直前の8割が育児休暇中に再び、保障されます。保育所も充実しており、小学6年生まで預かってくれ、費用の9割は国の負担です。P78より。  

 

高齢者も、ケアテイカーと呼ばれる税金で雇われた介護従事者が、老人1人ひとりを手厚く介護してもらえます。  

 

さらに、スウェーデンでは会社はいつでも従業員をクビにできますが、その代わりに失業保険は充実していて、失業者への再教育も手厚く、国が労働者に新しいスキルを身につけさせて、会社はその人材を再び雇用する仕組みです。  

国民の税負担は重いですが、その代わりに失業リスクも少なく、子育ても老後も政府が面倒を見てくれるので、将来に対して安心感が持てており、稼いだお金を貯蓄ではなく消費に向けられます。  

 

日本は将来が不安で、貯蓄に回すのとは大違いです。  

 

2 税率を下げたら税収が減るので財政破綻するかといえばそうでもない。

 

税率を下げたら、税収が減るので、財政破綻するのかといえば、そうでもないようです。  

 

ロシアでは、2002年以前では、年収が5000ドルを超えると、所得税が最高税率の30%に達していたのですが、給与所得がある人の大半が、最高税率を適用されてしまうため、脱税が横行し、それがロシアマフィアによる地下経済に流れていました。  

 

しかし、プーチン大統領は所得税の税率を一律13%に引き下げ、一方、マフィアに対しては「不正は許さない」と締め付けて、脱税者を徹底的に罰しました。  

 

すると、脱税して重罪となるぐらいなら、税金を素直に払った方が得だし、身の安全になるとなり、逆に、税収は25%も増加しました。  

 

レーガン大統領が行ったレーガノミクスも、税率を下げて景気を浮揚させ、税収を増やす結果となりました。  

 

3 今後の日本はスウェーデン、ロシアのどちらを目指すべきか?

 

では、今後の日本はスウェーデン、ロシアのどちらを目指すべきでしょうか?  

 

日本の現状は社会保障費が毎年増え、国民負担率だけが徐々にアップしています。  

 

国民負担率を上げるなら、スウェーデンのように「国が最後まで面倒を見る」にすればいいのですが、それをしません。  

 

国が最後まで面倒を見ないので、将来への不安だけが大きくなり、貯蓄し、生命保険、年金と何重にも投資します。  

そして、消費はなるべく抑えます。  

 

そもそも、日本の税負担はそれほど重くないといいます。

 

消費税なら、デンマーク、スウェーデン、ノルウェーの北欧3カ国は25%で、フィンランドも24%です。  

 

フランス、イギリス、オーストリアは20%であり、中国は17%、韓国やオーストラリアは10%です。  

 

法人税は第二次安倍内閣により、減税されました。(37%を29.97%に減税し、2018年度には29.74%に引き下げる)  

 

政府の目論見は法人税減税により、外国の投資や外国企業の進出を呼び込むことですが、非現実的だと大前さんは言います。  

 

ヨーロッパの法人税は平均25%です。(アイルランドは12.5%、ドイツは29.79%)  

 

アジアはシンガポールで17%、韓国は10〜22%、ベトナム、タイは20%です。

 

ことごとく、日本より低い法人税率です。  

 

外国企業が日本を選ぶ理由としたら、マーケットか、人材に魅力があるときだけです。  

 

しかも、減税した分を、日本の企業が投資に回すか、と言えばしません。  

 

内部留保か、配当に回すでしょう。(現在、内部留保に課税案も浮上していますね。3重課税?だという人もいて、議論が錯綜しています)  

 

内部留保について、橘玲氏の意見は以下です。

 

第71回 「内部留保で賃上げ」は誤り(橘玲の世界は損得勘定) | 橘玲 公式サイト  

 

4 大前さんの税制改革案。

 

ここからは、大前さんの税制改革案です。  

 

所得税と法人税を、下手にいじるのは良くないです。  

 

上げれば消費が冷え込み、現段階で下げれば、将来への不安から、貯蓄にしか回らないからです。  

 

日本はすでに超高齢化社会の「成熟国家」であり、成長は止まりましたが、資産だけは増え続けているのだから、資産税を導入すべきなのだといいます。  

 

所得税や法人税のようなフロー(流動する経済数量)に課税するより、ストック(資本や不動産)に対して課税すべきなのだといいます。  

 

それが資産税です。  

 

日本の個人金融資産は1800兆円を超えており、ここに1%の資産税をかければ、それだけで18兆円です。  

 

不動産にも1%課税すれば、合計約30兆円にはなるでしょう。  

 

資産家は課税されるぐらいなら、マンションやアパートを建てるなどして、キャッシュフローを稼ごうと考えます。  

これで、貯蓄から投資に向かうはずだといいます。  

 

さらに、所得税、法人税、住民税、固定資産税、相続税、贈与税、その他役人が作った入湯税やゴルフ税、車の重量税などをすべてなくす(多くの外国は相続税を廃止している)べきだと主張しています。  

 

特に、相続税と贈与税の廃止をすると、高齢者から資金ニーズのある若い世代へと資産が移っていくので、消費につながり、経済が活性化するでしょう。  

 

消費税は、生産やサービスで生まれた付加価値にかける「付加価値税」に転換し、税率を10%とするべきだといいます。  

 

日本のGDP約500兆円は付加価値の総和だから、その10%で、約50兆円の税収となります。  

 

「資産税」と「付加価値税」の合計で、80兆円以上です。  

 

これで、消費も投資も活性化します。  

 

唯一の課題は「貯蓄から投資へ」の動きが、都市部へ集中する可能性が高いことです。

 

以上、ここまで。P77〜84まで。

 

長い、引用・まとめになりました。  

 

5 僕の意見。

 

大前さんの提唱する税制改革は、感覚的には理解できるのですが、実現へのハードルがかなり高そうです。  

 

まず、税理士や税関係の人たちの仕事がなくなるか、大幅に変わります。  

 

税制をここまで抜本的に変えるとなると、ただでさえ複雑な税システムを、どうやっていじればいいのか、シュミレーションが非常にしにくいと想います。  

 

教育改革のように、税よりは複雑さが少ないと思われる領域でさえ、改革にかなりの理論的支柱やシュミレーションや試行錯誤が必要です。  

 

反対派も多くいます。  

 

税システムは国の行方をかなり変えるので、それこそ慎重に変えなければならないので、教育改革の比じゃないでしょう。  

 

税収80兆円になるといいますが、そんなうまい話があるわけはなく、誰かが損をしているのは確実です。  

 

それは資産家の大半(つまり、老人や金持ち)になるでしょう。  

 

しかし、たしかに大前さんの言うように、老人が大金を抱えながら死んでいくわけで、無駄が多いと思います。  

 

スウェーデンのように最後まで国が面倒を見ないから、という理由もあるでしょう。  

 

僕の提案なのですが、老人の保険による自己責任にするのではなく、国が老人への保険システムを作ればいいのでは?とも思います。  

 

まぁ老人天国特区を作り、そこに金をかけて入れば、一生安泰にするのです。

 

そして、老人の介護をする介護士の雇用も生まれます。  

 

介護ロボットへの投資も活発化させます。  

 

と、この文章を書いていたら、大前さんも似たような案を書いていましたw  

 

富裕層から国への「資産寄付制度」を創設するものです。  

 

いわば「国家救済ファンド」です。  

 

個人金融資産1800兆円の大半を持っている高齢者、または国内外に大きな資産を保有している富裕層を対象に、亡くなったあとで、55%の相続税をかけるのではなく、生きているうちに資産の50%を国家に寄付したら、残りの資産とその後稼いだ資産には、相続税をかけないという仕組みを作るのだそうです。  

 

2013年末から、国外に5000万円を越す財産を持っている日本人は国外財産調書の申告が義務付けられているので、制度を作ること自体はさほど難しくないといいます。  

 

そして、もし寄付した人がその後、資産を失って食うに困るような事態になったら、通常の2倍〜3倍の年金を保証するようにするのです。

 

 本人も家族も、相続で悩まなくなるでしょう。  

 

個人金融資産の1800兆円の半分は900兆円であり、それを日本の借金返済に充てると、国と地方の長期債務残高は約200兆円に圧縮されます。以上、引用、まとめ。P203〜206。  

 

ここまで簡単に、900兆円も寄付が殺到するかは不明ですが、僕の意見と似ており、考慮に値すると感じます。 (いや、大前さんの方が数字もしっかりしており、素晴らしいです)  

 

しかし、税システムだけですべてが変わるのかどうか。

 

ロシアはうまくやりましたね。  

 

北欧はそもそも、超高齢化社会にはまだなっていないのでは?  

 

日本は超高齢化と少子化が、同時に進行するから、厄介なのです。  

 

今後、車の老人による事故がさらに増えるでしょうね。  

 

また、介護問題(働き盛りの重い負担)も加わり、ますます、日本人の生産性が落ちそうな予感です。  

 

とりあえず、介護に関しては海外の介護士を大量に読んでしのぐか、介護ロボットも併用するかしかないでしょう。  

じゃないと、働き盛りの生産性が落ち、さらに日本の生産性が落ちることになるでしょう。  

 

教育の方は若い世代は、優秀な割合が増えているようです。  

 

これは僕の教育改革の提唱がきっかけかもしれません。  

 

教育を動かすには、僕の「フィクサーによる日本の教育改革本」ぐらいの理論的支柱や根拠がないと、なかなか動かなかったと思います。  

 

税制についても、議論した方がいいと感じます。  

 

また、テクノロジーやAI時代の到来も見据えながら、国のシステムを考えていくべきでしょう。  

 

藤沢数希氏は以下の見解のようです。(ツイートです)  

 

いろんな信念があって法人税率を上げろ、という人たちがいることも理解できますが、利益の40%テナント料に持ってく百貨店のとなりに10%でいいよっていう新築のピカピカのモールができたら、人気店はそっちに移りますよね。国なんて企業に場所を提供している百貨店みたいなもんですよ。以上、ここまで。  

 

ではこの辺で。(5182文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。  

 

引用・参考文献。  

 

「武器としての経済学」

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