どうも、武信です。(No736)
前回の記事が以下です。
2020年教育改革への僕の本「「亡国のメガロポリス」の引用・まとめ3」
最初に、短文書評を載せておきます。
僕はこの本をかなり高く評価しています。
「4点。三橋貴明氏の本を2年ぶりぐらい?に読んでみたが、離れていたのを失敗だったと思うほど濃い本。構想とはこういう本のことを言う。大前研一氏を抜いたと思う。政治家、経営者は必読。一般人にも良い。議論の叩き台として広く読まれて欲しい良書。」以上、ここまで。
ちなみに5点満点であり、5点をつけることはほぼないため、4.5点が僕の短文書評では最高点に実質上なるわけですが、この本に4.5点をつけてもいいかなと思うぐらいの出来栄えでした。
ですが、政策の善し悪しが完全に理解できているか分からなかったので、4点にしました。
かなりのマクロ経済学の分かりやすい本としては良書でして、さらに三橋氏の提言力、構想力が凄いと思いました。
この本の一部を引用・まとめします。(要約に近いですが、ぼくの概念では多少違います)
目次。
1 少子化の原因。
2 人口減少が経済成長しない論は嘘。
3 日本が経済成長しない理由。
4 日本の人口現象の整理。
5 移民受入の問題点&安倍政権の評価。
6 地方の失業率低下&実質賃金の話&労働集約的になっている話。
7 東京とシンガポール比較&東京都と島根県比較
8 三橋氏の提案。
9 三橋氏の提案2。
目次はここまで全部、要約しましたが、これだと本を全部、引用・まとめしてしまうので、ここから6までを紹介したいと思います。
全文では2万2000文字になっていますがこのうち、14000文字ぐらいを紹介します。
1(PART1、PART2)と2(PART1、PART2)と3と4に分けます。
3と4は僕の意見や他の本の引用・まとめが入っています。
4です。
1 僕の意見1。(「資本家マインドセット」からの引用・まとめ」)
三橋氏は、日本の高度成長期時代の再到来を願っているようです。
ですが、時代背景が違います。
「資本家マインドセット」からのまとめです。P66~77。
高度成長期時代は物質的に貧しく、「少品種大量生産」(三種の神器(冷蔵庫、洗濯機、テレビ)や3C(カラーテレビ、クーラー、自家用車))を実現するため、大量のサラリーマンを必要とし、大量に作れば売れる時代でした。
今の時代のように、多様な「多品種少量生産」ではありません。
そして、高度成長期の時代には言われたことをきちんとこなす兵隊が必要であり、だからこそ、社風があり、他社のことを知らない人材が都合よく、新卒一括採用でわざわざ育て上げました。
そして、「少品種大量生産」時代には、一人の社員に多様な能力は必要なく、細分化された仕事だけ覚えて、自分の持ち場で黙々と同じ作業を繰り返せば、マニュアル化された労働をすれば、大量生産できました。
ですが、同じことだけやっていると飽きて生産性が上がらないので、3年ぐらいで部署を異動させるジョブ・ローテーションを行い、「広く浅くのゼネラリスト」を養成してきたのです。
そして、社内結婚をし、定年まで勤め上げ、退職金をもらい、引退します。
しかし、欧米の企業はそんなことはしません。
特に、Googleやアップルなどは即戦力人材の採用であり、新人をじっくり育てる余裕なんかなく、中途採用で優秀な人材を採ります。
今は「多品種少量生産」なので、多様な価値観に合わせて、スピード感を持って次々と新しい商品やサービスを提供しなければなりません。
新卒一括採用に始まる「生涯サラリーマン」など、化石のようなものです。
こういう変化の激しい時代には、3年もかけてじっくり育てる余裕はなく、新卒一括採用は「将来予想される利益の先食い」であり、先行投資を回収するまでに時間がかかりすぎます。
これからの新しい時代は個別のプロジェクトごとに集められたプロフェッナル集団によって行われ、そこでは大企業や資本家が、資金とインフラだけを用意し、それに従うのはフリーランスやベンチャー組織であり、サラリーマンではありません。
日本の自動車メーカーは外部の人間を絶対に入れず、自前でやっていましたが企画から発表まで6年ほどかかり時間がかかりすぎますし、テスラのようなEV(電気自動車)ベンチャーは社外のフリーランスがプロジェクトチームを組み、大企業から資金提供を受けて作っています。
チームのメンバーは世界各国に散らばっており、一つのオフィスさえ共有せず、インターネットのクラウドシステムで共同作業がいくらでもでき、試作品でさえ、オンラインでつながれた3Dプリンタでリモート操作が可能です。
このような働き方は増え始めており、例として「ポップアップ・レストラン」があります。詳しくはP73~
このようなポップ型集団を支援するのは起業家向けのコワーキングスペース(共同作業所)を提供する米国のベンチャー企業「ウィーワーク(WeWork)」です。
サラリーマンビジネスモデルは破綻していく、と著者は見ています。
著者は一つの選択肢として、個人M&Aによって「資本家」になることを提案しています。
そして、数十億、数百億レベルの金持ちより、数億レベルの金持ちが一番幸せだといい、脱サラリーマンを目指すなら、個人で「会社を買う」のがベストな選択肢だといいます。
そのノウハウは以下の本に書かれているそうです。(ちなみに僕はまだ読んでいません)
「サラリーマンは300万円で小さな会社を買いなさい 会計編」
さらに詳しくは本で。以上、ここまで。
さて、三橋氏はやはりマクロ経済学は独特の視点があり、かなり衝撃を受けるのですが、ミクロ経済など実際の経営においては発想がイマイチかもしれません。
高度経済成長の到来は時代背景が違いすぎるので、起きにくいのです。
「少品種大量生産」時代から「多品種少量生産」時代ですから、真逆の価値観です。
だから、デフレになり、売れづらくなっているのもあります。(昔ほど「買いたいモノ」がないのです。大前研一氏は「低欲望社会」と言っていますが)
2 僕の意見2 (「資本家マインドセット」からの引用・まとめ」)
「資本家マインドセット」からの引用・まとめ第2弾です。P118~120、132。
中小企業が「大廃業時代」を迎えようとしており、誰もが資本家になれるチャンス到来です。
日本の中小・零細企業の経営者はどんどん高齢化しており、20年前は平均44歳だったのに対し、今は66歳です。
中小・零細企業の数はおよそ380万社ありますが、その社長のうち約245万人が70歳を超えているそうです。(日本経済新聞の記事による)
深刻な問題は後継者がいないことであり、社長が60代の会社では53%、70代では42%、80代でも34%の企業で後継者がいません。
ですから、高齢経営者は引退ができず、社長の平均年齢も上がっているわけです。
後継者がいないので会社はたたまれて、すでに年間3万社ぐらいが廃業しており、その半分は黒字企業でした。
この流れは加速し、今後10年間で約127万社が廃業に追い込まれると予測されており、日本全体の企業数は約400万社なので3分の1の会社がなくなりそうなのです。
日本企業の99%以上は中小・零細企業なので、このままだと2025年までに約22兆円ものGDP(国内総生産)が失われると経済産業省が予測しています。 失われる雇用は約650万人であり、労働者の約7割が中小・零細企業に勤めているので、インパクトが大きいのです。
そして高い価値を持つ中小企業が安く買えるマーケットがあり、中小企業のM&Aを仲介する企業の株価が右肩上がりで上昇してきました。
著者は中小企業を安く買い、資本家(さらに経営者)になる道を、サラリーマン絶滅時代において提案しています。
そして、三橋貴明氏は東京一極集中により、東京に県外から流入した若者は安く買い叩かれている上に、貧困化しているのだとしたら、地方に若者は戻り、競争が激しくない環境下でビジネスをすればいいと提案しており、この中小企業の資本家(&経営者)になる道も同じ解だと思いました。
サラリーマンでも安く買える中小企業は、たくさんあります。
最近では「トランビ」(約900件掲載)や「バトンズ」(約800件掲載)といったインターネットサービスで、売りたい会社を見れますが、表に出回っている情報なので、掘り出し物は少ないはずです。
著者はその掘り出し物の情報をどうやらオンラインサロン「サラリーマンが300万円で小さな会社を買うサロン~個人M&A実践団」で放出しているようです。
月額制で会費1万円ですが、著者の取り分は会員数130人☓(DMMに使用料25%を支払い)で約100万円だそうです。
著者は日本創生投資という投資ファンドも手がけてきたM&Aのプロなので、その「門外不出の情報」だとしたら、安いと思っているようです。
三橋貴明氏も地方は若者にとってチャンスだと提案しており、その手段として「資本家マインドセット」の著者の案も、選択肢としてありうると僕は感じたので紹介しました。
3 僕の意見3。(「「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」からの引用・まとめ」)
ここで、「考える力とは、問題をシンプルにすることである。」という本から、引用・まとめをしますね。
著者は少子化の問題が深刻なのは、労働人口が減って高齢者を支えられなくなるからだといいます。(出生率1.4を人口を維持するために必要な、2.07に戻すのはたいへん難しい)
そして、「高齢者を支えるために子供を作ろうという若者などいない」といいます。
つまり、本当の心配事は「子供の数が少ない」ではなく、「自分の老後を支えてくれる国家予算が足りない」なのです。
ですから、解決策は以下のようなものが挙がります。
1 生まれてくる子供の数を増やす。(これは出生率2.07に戻すのは難しい)
2 人口減を補うくらい若者に稼いでもらう。(これは実現可能かもしれない)
3 移民で労働者人口を増やす。(これは政府は少しずつ実行中)
4 ロボットで労働者人口(労働力)を増やす。(これも検討中ですかね)
5 高齢者の受益を減らす。
6 「高齢者」を減らす。(70歳まで働いてもらい、「高齢者」の定義をずらす)
そして、夫婦一組あたりの子供の数は2010年の調査で、1.96人です。
少子化の問題は「結婚した夫婦が子供を産んで育てる環境がない」と思われがちですが、実は「結婚しない人が多い」ことだったのです。
少子化の問題は実は違う側面から見ることも可能なのですね。以上、ここまで。
三橋氏は少子化の原因を結婚していない女性の増加(未婚率の増加)と分析してましたが、著者とまったく同じでした。
三橋氏の解決策は東京一極集中の是正によって、地方分散を図ることが狙いでもあります。(そのために新幹線やリニアの整備は必須といいます。詳しくは本で)
東京に来ることで若者が貧困化し、未婚率が上がっていますからね。
僕の解決策として、高齢化には案がありますが、参院選後に煮詰めて実現可能性があるかどうか見てみます。
あとは三橋氏のいうように、若者の賃金の上昇や正規雇用にすることでしょうね。(マッチングアプリや結婚相談所があっても、肝心の経済力ある男性がいないとなれば女性は結婚したくないのでしょう)
このままだと、生涯独身率も上がると思われます。
大前研一氏は週刊ポスト(2019年)で、地銀は転落気味ですが復活策として「地域(地方)のプロデューサーになれ」と書いていました。
意欲ある若者に「資本家マインドセット」」の著者が言う「中小・零細企業の後継者になる支援(投資家、経営者として)の金やアドバイス」を地銀や手がけるのもありかもしれませんね。 地方の中小・零細企業は後継者不足で廃業になっていきそうですし、意欲ある若者が復興させて、地方に経済面などで好影響を与える手助けとして、地銀の生き残りの道があるかもしれません。
地銀だけじゃなく、大手銀行などもこの問題へ関与し、融資してもいい気がします。
ではこの辺で。(5465文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。