どうも、武信です。(No192)
2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本9 第11章」です。
構想約5年以上!総文字数約31万2000文字以上の執筆物です。
フィクサーだと僕が思う理由は、2014年頃(正確には2013年頃から着手)から、この本を書き始めており、それと連動して日本の教育改革も進んだことが、まず挙げられます。
また、それ以上の確固たる証拠もありますが、それは伏せることにします。(本が1冊書けるほどの情報量になります)
第11章「そもそも資本主義に限界があったとしたら」
1 「日本資本主義の正体」の要約の前書き
これまでの内容で日本の低迷の理由を、デフレ構造や、「日本の高学歴が知識集約型でのイノベーションを起こしていないからだ」と分析してきました。
もちろん、L型の改善も大切です。
さて、この章で衝撃的な問題提起をすることにします。
「そもそも、今の日本の低迷が資本主義という根本の制度の欠陥によるものだったとしたら」というものです。
「日本資本主義の正体」という本の内容を簡単に要約します。
資本主義の基本は資本を投下して、利潤を得て拡大していくことです。
ですが、この利潤(国債の利率を基点にして、長期金利や金融機関の貸し付け利率が低いということは、それだけ世の中に儲け話がないということ)が、極端に低いのです。
住宅も自動車も家電製品も、もはや各家庭に行き渡っています。
詐欺まがいの儲け話はあっても、真っ当な企業が飛びつくほどの、利ざやの大きな儲け話はありません。
そのため、企業は資金ばかりため込んで、一向に使おうとしません。
ため込んだお金は金融機関を通じて、国債の購入に充てられて、ますます利率が下がります。
国債以外に、魅力的な投資先がないのです。
アメリカは資本主義の限界を、金融やITへの投資をして、バブルを何回も起こしながらも乗り切ろうとしています。
2006年と1996年との年収の変化を見ると、医師、歯科医師などの専門的・技術的職業を除き、大半の職種で年収が低下しています。
露骨なのは、生産工程・労務といった職業の給料の減少です。
総合的に言えることは、やはり儲かる職業・産業・企業が少なくなっていることです。
それに加えて、労組が力をなくしているので、経営者に押されっぱなしです。
この2つが、給料が減っている最大の要因でしょう。
しかし、根本原因は日本の資本主義が変調を来していることです。
職業別の賃金格差を見れば、世界的にグローバル化やIT化の影響が強く出ており、知識労働や高技能の労働が、より稼げるものになっている一方で、低学歴で肉体を駆使する労働で稼げなくなっているということが分かります。
2 資本主義が行き詰まった理由2つ
資本主義が行き詰まってしまった理由は、2つあります。
まず、交易条件が悪化したことです。
簡単に言えば、「資源の価格が上がってモノ作りが儲からなくなった」ことです。
先進国が製造業で利益を得ようと思えば、石油などの天然資源を安く仕入れて、工業製品を高い値段で売るのが一番です。
しかし、1970年代の二度にわたる石油危機で、そういうことが許されなくなりました。
もう1つは、先進国が搾取できる国がなくなったことです。
資本主義は常に、「中心」と「周辺」の2つが必要です。
国内において、資本家が労働者から搾取するように、中心の先進国が周辺の途上国から搾取するという「中心―周辺理論」です。
中心である欧米の先進国は周辺を収奪して、フロンティアを広げることで利潤を上げてきました。
イギリスの植民地支配は、典型例です。
植民地から、資源を吸い上げます。
吸い上げた資源で製品を作って、植民地や本国で売りさばきます。
原材料費がタダに近いのであれば、ぼろ儲けです。
そうやって、資本主義が適用される地域を広げてきたわけですが、中国やロシアもこのシステムに参加した今、新たなフロンティアは残っていません。
ちなみに、「中心―周辺理論」は昔は当てはまっていたけれど、80年代以降は韓国やシンガポールやマレーシアなどの新興国が急成長したことから分かるように、現在は、当てはまらなくなっているようです。
3 金融領域
こういう2つの条件があって、製造業を中心とした資本主義は少なくとも、1970年代から行き詰まりを見せ始めました。
行き詰まった資本主義が目指したのが、金融領域です。
「実体経済から金融経済へシフト」したのです。
世界中から大量の資金を集めては、それを住宅・一次産品などに投資して、目先の利益を追い求めます。
その結果、かつてに比べて、バブルが発生する確率がものすごく高まり、昨今は四六時中、バブルが発生しては破裂しています。
しかも、バブルの崩壊によって苦しむのは、きまって貧困層や中間層です。
投資で生計を立てている投資家ではありません。
例えば、金融バブルの崩壊で銀行や証券会社が破綻すれば、その救済に巨額の公的資金が使われます。
人々から広く重く税金を取り、生き残った人々の富を増やしていっています。
4 富裕層の話
日本には、分かりやすい勝者がいません。
内部留保をため込んだ大企業は、例として挙げられるでしょう。
具体的な金持ちの個人は批判しやすいですが、企業自体は批判しにくいです。
また、日本を除くアジア太平洋では、数多くの新しいタイプの起業家が出現しており、富裕層の41%が45歳以下であるのに対し、日本では富裕層の80%が56歳以上で、45歳以下は8%にすぎないといいます。
超大金持ちになると、さらに高齢者が多くなります。
日本に2万6386人存在するビリオネア(資産10億円以上の富裕層、日本の全人口のわずか0.02%)の平均年齢は、72.6歳だといいます。(P197)
大企業も高齢者も批判しにくいため(理由は著書で)、格差批判が起きにくいのです。
資本主義社会で、リスクをとらない医者は金持ちです。
診療報酬という、公定価格で生きている医者が金持ちというのは、日本の資本社会が歪んでいる証拠です。
ちなみに、医療や福祉など社会保障という税金でまかなわれる公的な世界では、医者以外にも隠れた金持ちはいっぱいいます。
例えば、鈴木亘氏は特別養護老人ホームを運営する社会福祉法人の内部留保の総額は、2010年度末に約2兆円になることがわかったと指摘しています。
社会福祉法人は家族・同族経営が多いため、これらの膨大な資金は相続されていきます。
日本人の給料が増えない理由は、資本主義が行き詰まる中で、資本家や会社や労働者で少なくなるパイの奪い合いが起こり、労働者はパイを巡る配分争いで負け続けていることです。
そのことが給料が減り続けている要因だと、著者はいいます。
5 僕の結論
僕の本では、デフレ構造やイノベーション不在を要因としていました。
著者の主張は資本主義という、さらに根本の構造まで踏み込んでおり、僕を驚かせました。
ですが、構造的には著者の主張通り、資本主義の成長が停滞し、儲けの種が減り、さらに大企業が内部留保を社員に還元してなかったりして、日本人の給料が増えないとも思います。
しかし、「イノベーション的な商品やサービスを開発できれば、まだ需要は伸ばせるのではないか?」と僕は考えています。
ちなみに、日本再興戦略では「中長期的に経済成長を続けていくためには、これまでに無い製品やサービス、システムを作り上げることで全く新しい市場を創造するか、成長・拡大を続ける国際マーケットで増えたパイを取りに行くかの2つのフロンティアを開拓していくしか方法がない」と記述されています。
著者の資本主義の限界という視点は僕にはないものであり、非常に参考になったことは付け加えておきます。
ではこの辺で。(3636文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
「日本資本主義の正体」