ポジショニングの意味。「ポジショニング(立ち位置)が全てだと言う人がまだいるが、間違っている!経営戦略をちゃんと学んだ方がいい!」

どうも、武信です。(No890)

 

経営学を本格的に勉強していない人だと、まだ「ポジショニング(立ち位置)が全てだ」と言う人がいます。  

 

「自社や自分がどのポジション・業界・分野にいるかで、勝負が決まる」と言うのです。  

 

ですが、「この考えは誤りである」ことを本を論拠にして、書いていきます。  

 

詳しく知りたい方は、続きをお読みください。

 

 

1 ポーターとバーニーの経営論争。

 

経営論争には、「競争の戦略」の著者で有名なポーター教授と、「ケイパビリティ」(企業が全体として持つ組織的な能力。 あるいは、その企業が得意とする組織的な能力)を重要視するバーニーの論争が有名です。

 

ポーター教授の競争戦略とは、基本動作として「防衛するか」「新規参入するか」の2つがあります。  

 

守るときには「自社の参入障壁を強化する」。  

 

攻めるときには「相手の参入障壁を切り離す」か「無効化する」

 

さらに、競争戦略とは、「5つの参入障壁の攻守である」とも言えます。

 

5つの競争要因には、「新規参入者の脅威」「買い手の交渉力」「既存企業同士の競争」「代替品や代替サービスの脅威」「サプライヤーの交渉力」があります。

 

ビジネスの競争は参入障壁をめぐって行われます。  

 

相手の参入障壁を崩して侵入し、相手の意図を破壊して防御するのが基本です。

 

詳しい内容は以下の記事にも載っています。  

 

初心者のための経営学の教科書「俯瞰経営学2」PART4

 

また、記事から抜粋しますが、有名な3つの位置取りの戦略があります。  

 

コストリーダーシップ戦略は、構造的にコストを下げて、価格競争力を高めます。量的拡大を目指します。  

 

差別化戦略は、価格以外の要因で、他社との違いを作ります。  

 

集中戦略は、市場全体をターゲットにするのではなく、市場の特定分野に集中します。

 

これらは位置取り(ポジション獲得)の戦略です。  

 

どれを目指すかは、企業によります。以上、ここまで。

 

加えて、「業務効率の改善と戦略的な行動」は違います。  

 

業務効率とは、「競合他社よりも類似の活動を上手に行うこと」です。  

 

いわゆる、オペレーションの改善などが該当するでしょう。

 

戦略的な行動とは、

1 「競合他社とは異なる活動を行う」、

2 「競合他社と類似の活動を異なる方法で行う」

ことです。

 

  戦略ポジショニングの本質は、「他社と異なる商品・サービス・顧客のニーズ・立地」こそが武器となります。

 

さらに、3種類の「戦略ポジショニング」があります。  

 

1 バラエティ・ベース・ポジショニング。

 

特別なサービス・製品のみに絞り込みます。  

 

例。ジフィー・ルーブ・インターナショナルの自動車のオイル専門交換。

他の種類のサービスや製品は他社に任せます。

 

2 ニーズ・ベース・ポジショニング。

 

特定の客層のニーズをすべて満たします。  

 

例。家具のイケア。

組み立て式でもよいから、価格が低いことに魅力を感じる客層に対応。

 

 

3 アクセス・ベース・ポジショニング。

 

物理的な環境に合わせて高い価格を生むサービス、製品を目指します。  

 

例。カーマイク・シネマズ。

人口が20万人以下の都市で運営される映画館。支配人が1人で運営できるのが特徴。

 

特定のニーズやカテゴリーに絞り込むことは、他社との競合を避けて自社に優位なビジネスを展開する基礎となります。

 

これに対し、バーニーは「企業が持つ、固有で独自のリソースを最大限活用し、他社にはマネが難しい要素がある戦略を選ぶべき」と言っています。  

 

1 他社にマネされないセオリー(成功法則)を持つこと。  

 

競争優位の追求には2つの方法があります。

 

1 自社だけが、セオリー(成功理論)を知っている。  

 

2 そのセオリーがわかっていても、他社がマネできない。(得意なだけではダメで、お金が儲かることが大前提)

 

2 自社の特徴を生かした「リソース・ベースド・ビュー」で考える。

 

チャンスがあっても、効果的なリソース(資源)がなければ失敗します。  

 

他社にはない独自の経営資源を活用することで、競争に勝てます。

 

3 全体の競争優位は連鎖的な付加価値(バリューチェーン)で決まる。

 

「立地・資金・計画・組織・流通・販売」などの連鎖的な付加価値が競争優位の要因です。  

 

1つだけでなく、複数の付加価値を見出すことで、競合から抜きん出た企業になります。

 

これまでのポータ教授の「ポジショニング派」とバーニーの「ケイパビリティ派」での争いは20年続きましたが、決着がつきました。  

 

「競合他社に対し、どんな立ち位置にいるかが重要」と言うポーター教授と、「競争の優位に必要なのは自社の経営資源」と言うバーニー。

 

「持続的な競争優位への寄与度」は、バーニーが約45%、ポーターが約15%で、バーニーの勝利でした。(残りの40%は不確実性と言われます)

 

ここまでの内容は「3000年の叡智を学べる戦略図鑑」から、まとめさせていただきました。

 

かなり面白いであり、孫子の兵法から、最先端まで3000年の戦略が概観できますので、興味がある人は読んでみてください。  

 

 

ちなみに、僕の以下の記事に、今回の話題の発展編の記事がありますので、興味がある人は読んでみてください。

 

企画書の書き方「有料級!企画・新規事業・政策立案の発想法」

 

 

2 自社の経営資源がいかに大事か?がわかる事例。

 

企業には強烈な「自前主義」の会社もありますが、異業種間の競争が激化し、VUCAの時代になるにつれ、スピードが重要視される中で、「ゼロから自ら育成するのでは時間がかかりすぎる」という欠点があります。

 

そんな中、オープンイノベーションが一時期、ブームとなりました。  

 

「他社とコラボする」ということです。

 

しかし、オープンイノベーションの成功率は驚くほど低いのです。  

 

最も成功したと言われたP&Gでさえ、その後、大スランプに陥りました。

 

外部の知恵に安易に頼ったために、自社のR&D(Resarch&Develop)投資比率は半減し、その結果、新商品がなかなか出てこない事態に直面しました。  

 

頼みの他社も、独自の最新技術資産を軽視するP&Gと組むより、ウォルマートやコストコに直接、持ち込んだ方がいいことに気づきました。  

 

オープンイノベーションに頼りすぎたツケが回ってきたのです。

 

オープンイノベーションを成功させるには5つの要件を満たす必要があります。  

 

詳しくは「経営改革大全」をお読みください。  

 

 

そのうちの1つを書くと、

1 「他社にない独自資産に磨きをかけている」がP&Gには欠けていました。  

 

オープンイノベーションは他力本願のように見えますが、成功させるためには、「自らの資産をいかに磨き上げるか」(他力本願になりすぎない)が重要なのです。  

 

自らが2流であれば、2流以下のプレーヤーとしか組むことができず、2流☓2流は4流であり、初めから勝負がついていたということになります。  

 

ここでも、上記のバーニーの件で書いたように、「自社の経営資源の重要性」が分かります。

 

ここからは、もっと身近な例に応用していきます。

 

 

3 もっと身近な例に応用。

 

よく「飲み会や異業種パーティなど」に参加し、人脈を作りまくる人がいますが、僕はそれは滑稽だと思っています。  

 

経営学的にいえば、自分の強みをそれほど作らずに、他人とコラボしまくっている状態だからです。

 

まず、大事なのは「自分の強み構築」であり、しかも「他人が安易にマネできない強み」であるべきです。  

 

その強みありきで、自分が弱みとしている部分を協業し、コラボすることで補うのです。

 

強みもなく、他人をマネジメントしたり、人を上手に動かすことで、出世したり、勝っていく人も稀にいますが、レアケースではないでしょうか?  

 

それこそ、DaiGoが言うスーパーコネクターであり、かなりの人脈網を持っている人です。

 

スーパーコネクターは人と人をつなげるのが仕事であり、強みなのです。

 

または、「人を動かす」の著書で有名なカーネギーは「自分より能力がある人を動かして財産を築いた」みたいなことを書いていましたし、マネジメント能力も能力の一部ではあると思いますが、「ある程度の資金力(人を雇う)や、立場や地位に就いていないと使えない戦略・手法」でしょう。

 

若いうちや、普通の人は、まず「自分の強み構築」が先であり、人脈形成なんて二の次でいいはずです。  

 

そもそも、自分が3流なら、自分より上の2流や1流からは、まともに真摯に相手にはされません。(相手の駒・便利な存在としてなら、使われる可能性もありますが)

 

4 タイトルの結論。

 

タイトルで「ポジショニング(立ち位置)が全てだと言う人がまだいるが、間違っている!」と書きましたが、その理由を述べます。

 

もう上記で結論が出ていますが、経営学的にはポジショニング派よりも、ケイパビリティ派(自社の経営資源)の勝利です。

 

ですが、もっと身近な例で伝えたいと思います。  

 

例えば、今、流行りのNoCodeという「プログラミングなしでWebサイトやアプリが作れる」サービスが注目を集めています。  

 

この「NoCodeを教える、または流行らせる人達」の中で、勝敗を決めるのはいったい何でしょうか?

 

インフルエンサーの人は「先行者優位」「ポジショニング」を口に出すでしょう。  

 

NoCodeという立ち位置が良くて、「早めにサービスを始めれば勝てる」と言うのです。

 

確かに、一理ありますが、経営の世界では「後出しじゃんけん」で勝つ事例は多いのです。  

 

1 音楽再生機。ナップスター → iPod

2   スマートフォン。ブラックベリー → iPhone

3 PDA。パーム → iPad  

のように、アップルはフォロワーであっても、「圧倒的に完成度の高い商品を出す」ことによって、市場を席巻しました。

 

他にも、Facebookより先に初めたMyspaceは失墜してますし、後発者が勝つ事例は多いのです。

 

NoCodeの学校ビジネスは、多くのインフルエンサーがやってきた「ブログやYouTubeを教えるビジネス」と似ています。  

ビジネス系YouTuberは先行者が優位と、散々、インフルエンサー達は言いますが、後発でも圧倒的に質の高いビジネス系YouTuberが出てきたら、抜かれる可能性はあると僕は予測します。

 

NoCodeの例でいえば、今は、やっている人が少なく、数人ぐらいがほどほどのポジションを占めているに過ぎず、まだまだ不透明な情勢です。  

 

で、ここで勝てる人というのは、やはり「NoCodeに圧倒的に詳しく、しかもそれを表現できる人」(動画や文字やサイトなどで)なのです。

 

つまり、ポジショニング(立ち位置)ではなく、「圧倒的な強み・魅力」です。  

 

後発でも、全然、勝てると思います。

 

しかし、「NoCodeに圧倒的に詳しく、それを表現できる人」というのは稀ですし、そういう人がいたら、ライバルは蹴散らされるでしょう。

 

ここで、ポーターの戦略が役立ちます。  

 

弱者の兵法でもあります。

 

NoCodeあるなら、どれか1つのサービスに特化して、絞るのです。

 

自分の資源(時間、金、労力など多数)を分散させないようにしないと、ライバル(特に広範囲に詳しい人)には勝てません。  

 

今でも、NoCodeの1つのサービスである「Bubble」に特化している人もいます。

 

弱者は特化戦略が適しています。

 

最後に、ビジネス全般に言えるのは、ポジショニング(立ち位置)より、「自分の圧倒的な強み・魅力」の方が寄与度が高いという点です。

 

残りは不確実であり、「先行者優位」(知名度、評判を確立し、囲い込む)も最低限は寄与してるでしょうし、マーケティング力・宣伝力など、いろいろな要素が絡んできているのでしょう。

 

「他人を動かす」「他人を成功させることで儲ける」(マネジメント系)「人脈で儲ける」(スーパーコネクター系)は、レアケースであり、しかも資金力や地位・立場がある人(いわゆる年配の人)限定の戦略でしょう。

 

スーパーコネクターでは、古市くんや、手越くんが該当しているとDaIGoは言ってましたが、スーパーコネクターは若い人でも成り立ちますが、レアケースです。

 

普通の人は、「自分の圧倒的な強み構築」をまずは目指しましょう。

 

「他人に真似されにくい圧倒的な自分の強み構築」(しかも価値があり、金になる)があれば、誰かから必要とされますし、一流の人ともコラボしやすくなります。

 

  「ポジショニングが大事だ!」と「戦う戦場選び」ばかりに注力し、自分の圧倒的な強み構築を疎かにしてはいけないでしょう。

 

もちろん、ポジショニングもある程度、大事です。

 

稼げない不況業種・業界に行けば、稼げません。  

 

波乗り・流行りに敏感になることも大事ですが、それだけだとダメだという話でした。

 

参考になる人がいたら、幸いです。

 

ではこの辺で。(5712文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。  

 

参考・引用文献。  

 

  「3000年の叡智を学べる戦略図鑑」  

 

「経営改革大全」

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