どうも、武信です。(No908)
ニッチな領域は、あまり知られていなく、大手も参入してこない分野です。
そもそも、大手が参入しても旨味がないか、もしくは大手が対応するには狭すぎる、マニアすぎる顧客なので、大手の「規模の経済」によるコスト削減策が通用しづらいという面もあります。
ニッチな分野を攻めるのは、多くの資源を持っていない弱者にとっては有効な作戦です。
大手が攻めてこないので、競争がそこまで激しくなくなるからです。
もちろん、弱者同士で争いがありますが、大手とガチンコ勝負よりはマシでしょう。
今回、「知識ゼロでも今すぐ使える!ビジネスモデル見るだけノート」という本を参考にして、ニッチなあまり知られていないビジネスモデルを紹介しようと思います。
こんなビジネスモデルが存在したのか!と驚く人もいるでしょうし、こんなビジネスでも成り立つ可能性があるんだなぁと感じる人もいるでしょう。
知る人ぞ知る、ニッチなビジネスモデルを深堀りして、弱者は差別化して、勝負していきましょう!
1 ニッチなビジネスモデル。
ニッチなあまり知られていないビジネスモデルを紹介していきます。
1 ALIS。(広告収入に頼らないWebメディア)
多くのWebメディアはPV(ページビュー)数に対する広告収入を収益源としているため、過度な広告やPV偏重のコンテンツが氾濫しがちでした。
そんな中、広告収入に頼らないWebメディアであるALISの出現です。
「良質なコンテンツ製作者」と「良質なコンテンツの評価者」双方に報酬を与え、より上質なコンテンツ充実を図ったのです。
「ALISの製作者・閲覧者への報酬」は、独自で発行した「トークン」と呼ばれる仮想通貨で支払われます。
まずは、ALISが仮想通貨のトークンを発行します。
それを協賛者が資金を出し、買い、代わりにALISからトークンを受け取ります。
その後、良質なコンテンツが充実していき、ALISの評価が上がることで、ALISが発行したトークンの値段も上がり、協賛者(出資者)、コンテンツ製作者・閲覧者の全員がWin-Winになるという構造です。
ALISは協賛者から資金を募った上に、コンテンツ製作者やコンテンツ閲覧者にまでトークンを支払い(良質なコンテンツを発見した閲覧者にもトークンを与える)、コンテンツ自体の魅力を上げようという作戦なのです。
決済が比較的、楽な仮想通貨を使用したニッチなビジネスモデルです。
2 ジャンプルーキー。(広告収益を全て漫画家へ還元するモデル)
ジャンプルーキとは、漫画家を目指す人が多数投稿する、「少年ジャンプ」が運営する無料マンガアプリです。
アプリ利用者は以下のことができます。
1 無料で投稿作品を閲覧。
2 「いいジャン」と呼ばれる評価システムで投稿者を応援できる。
また、アプリには様々な賞が設けられており、少年ジャンプの編集者も、全ての投稿作品をチェック・評価しています。
そこから本格掲載、本格デビューへとつながることもあります。
ジャンプルーキーの投稿作品は読了すると広告が表示されます。
この広告収入は少年ジャンプには入らず、投稿者に全額還元されます。(つまり支援するのです。新人漫画家育成です)
収益化を目指しているアプリではないですが、アプリそのものが少年ジャンプの宣伝となりますし、少年ジャンプの売上アップにもつながります。(AKBの売れないうちから、応援する形式と似ています。新人漫画家が育つ過程を見れますからね)
少年ジャンプ本誌で、賞で公募し、編集者だけが判断して、抜擢するより、ファンがつきやすい仕組みなので、画期的です。
3 ビッグイシュー。(ホームレスを移動式の書店に変えた!ビジネスモデル)
ビッグイシューは「イギリスのロンドンで生まれた出版社」であり、同社が発行した雑誌はホームレスの路上販売だけであり、書店では販売していません。
内容は、政治・経済・社会から、芸能・健康・文化まで多岐に渡る「総合雑誌」です。
ビッグイシューの目的は「ホームレスの自立支援」であり、意義があるので、多くの著名人が支持し、独占取材などを勝ち取っており、高いブランド力があります。
ビッグイシューの雑誌は1冊350円です。
各ホームレスには最初の10冊は無料提供されます。
その10冊分の売上の3500円(1冊350円☓10冊)は、全額ホームレスの取り分となります。
その取り分を原資にさらに雑誌を有料で仕入れて、売ります。
以降は販売額の約5割にあたる180円がホームレスの収入となります。
著名人の取材や、ホームレスの体験談など、他にない内容で一定の購読者を得て、日本版は創刊5年で黒字化に成功しました。
しかし、ホームレスが減少傾向にあり、ビッグイシューの販売員も減っています。
ビッグイシューの自立支援がある程度、成功したからですが、売上減少ということで、「ビッグイシューのジレンマ」と呼ばれています。
このビジネスモデルは、日本での今後の高齢者の生活保護層増加と併せて、何かしらのビジネスへ発展できそうな予感がします。
日本の生活保護の高齢者でも、参加できそうなビジネスモデルだからです。(いろいろと発展版や応用が効きそうです)
4 SCOUTER。(転職会社ではなく、個人がリクルーターになれるビジネスモデル)
従来の転職サイトの仕組みは以下です。
「企業」 → (求人募集を出す) 「求人会社」 ← (求人サイトに登録する) 「転職希望の人」
SCOUTERのシステムは以下です。
「SCOUTER」 → (求人情報を公開) 「登録している一般人」 → 「一般人の知り合い」(知人の人脈で求人情報に適した人を探す)
つまり、「外部の一般の人」に転職希望者を斡旋させるマッチングサービスです。
コネ採用、と似ていますね。
コネがある人を、出版社が採用するのです。
2012年に老舗出版社の岩波書店が、2013年の入社社員の応募資格として、「岩波書店著者の紹介状あるいは岩波書店社員の紹介があること」を挙げたのです。
コネを掴み取った人は、元々の紹介者とのつながりがありますし、紹介者と親しく、変な人を出版社に紹介しないだろうという思惑で、コネ採用に踏み切ったのだと思います。
しかし、SCOUTERの仕組みは、このコネ採用とは少し違います。
「岩波書店著者や岩波書店社員の紹介」という風に限定せず、登録すれば誰でも斡旋できるからです。
転職希望者のキャリア相談に乗り、成果報酬をもらえるのです。
斡旋する人には、時給と食事代が支給され、斡旋された人にも採用が確定した時点でお祝い金が支払われるシステムとなっています。
もちろん、斡旋者は、求人に合いそうな友達などを探すのが基本でしょう。
まったくの見ず知らずの人を紹介するわけではありません。
ニッチな面白いビジネスモデルだと思います。
5 Humanium。(違法銃を仕入れて、企業に意義を提供するビジネスモデル)
Humaniumとは、「回収した違法銃器を溶かしてできた金属」のことを指します。
武器撲滅を謳うNPO「IM」が立ち上げた事業を以下、紹介します。
違法銃をIMが譲り受けて、溶かして、Humaniumを製造します。
そのHumaniumを、企業やクリエイターに提供し、売上の一部を収益化します。
企業やクリエイターは、溶かしたHumaniumを、時計ブランド、自動車メーカー、雑貨ブランドとして、グッズに加工して販売します。
世界には数億丁の違法銃があるといわれており、毎日1500人の命が失われており、Humaniumu事業の存在意義は大きいのです。
違法銃を減らせば、多くの命が失われずに済みます。
さらに、政府は押収した銃の処分費用が削減できます。
Humaniumを提供された企業はブランドのイメージアップにつながります。
銃規制への意識も高まる社会的意義が大きい事業といえます。
6 「コエステーション」。(好きな声を使えるアプリ)
音声技術・音声合成技術は、今後、市場規模の拡大が見込まれています。(2025年の世界市場規模は約20兆円に達すると予測されています)
東芝デジタルソリューションズ株式会社が運営するアプリが「コエステーション」です。
自分の声をアプリに提供すると、アプリ側によって、提供社自身の音声を合成して、コエとして生成します。
テキスト入力すると、生成したコエをYouTuberチャンネルなどのコンテンツで喋らせることができます。
僕は音声ソフトなどを利用し、ブログの内容をYouTubeにアップしてみましたが、やはり他人の声でした。
しかし、このアプリは、自分の声に近い声を利用できる上に、抑揚やスピードも調整できるのです。
また、好みの声優の声でナビガイドをしてもらったり、映像コンテンツ用のナレーションを作成できます。
アプリ自体は無料ですが、外部企業から入るコエの使用料で収益を得ています。
いろいろな場面、用途で、いろいろなコエ(他人のコエも将来、利用可能に?)を使用できる未来図が思い浮かびます。
以上、「知識ゼロでも今すぐ使える!ビジネスモデル見るだけノート」という本を参考にして、まとめました。
ニッチなビジネスモデルもかなり書かれている珍しい本なので(普通のビジネスモデル本では書かれていない)、興味がある人は読んでみてください。
2 ニッチ戦略の紹介。
ここからは、「3000年の叡智を学べる戦略図鑑」という本を参考にしてまとめます。
ニッチなビジネスモデルの話から外れて、ニッチな戦略の話になります。
大企業と競争しないためには、以下の戦略が基本になります。
「競争しない競争戦略」という概念です。
2つの方向性があります。
1 共生。(強調戦略)
2 棲み分け。(ニッチ戦略 or 不協和戦略)
競争しないためには、棲み分けが必要になります。
ニッチ戦略とは、市場の量か質を絞り込むことを指します。
「市場規模をあまり大きくしない、利益率をあまり高くしない、市場を急速に立ち上げない」ことで、大手企業が参入しても旨味がないことを悟らせます。
「マーケットが小さすぎる、技術が特殊でニッチすぎる」のもありです。
次に、「不協和戦略」とは、戦略によって参入障壁を作ることを指します。
資産が多い大手企業にはできないことをするのです。
これまで培ってきた大手企業の強みや資産を逆手に取ります。
大手企業の強みや資産が邪魔をして、参入できない市場を作り、勝負します。
最後に、「強調戦略」ですが、これは大手企業と共存共栄を狙う戦略です。
「大手企業の仲間、バリューチェーンに入ります!役に立つから潰さないでね」という戦略です。
以上、ニッチなビジネス、ニッチな戦略について述べてきました。
参考になれば幸いです。
ではこの辺で。(4688文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
引用・参考文献。