どうも、武信です。(No193)
2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本9 第12章」です。
構想約5年以上!総文字数約31万2000文字以上の執筆物です。
フィクサーだと僕が思う理由は、2014年頃(正確には2013年頃から着手)から、この本を書き始めており、それと連動して日本の教育改革も進んだことが、まず挙げられます。
また、それ以上の確固たる証拠もありますが、それは伏せることにします。(本が1冊書けるほどの情報量になります)
第12章「そもそも、イノベーションは国家の力が大だったとしたら」
1 アップルとグーグルとその他の例
この章で11章に続き、衝撃な問題提起をします。
今まで、デフレ構造や、イノベーター不在が「日本のG型の低迷の原因」だと書いてきました。
ベンチャーキャピタルによる資金は日本にはそれなりにありますが、「肝心のイノベーターがいない」と書いてきました。
大企業がベンチャーを支援しないから、「高学歴層がリスクを怖がっている」とも指摘しました。
また、教育や国民性にも原因を求めてきました。
ですが、そもそもアメリカのイノベーションの成功事例が、実は国家主導であり、国の強力な支援が前提だったとしたらどうなるでしょうか?
イノベーターだけの力じゃなく、国家の力が大きな割合を占めていたとしたら、イノベーター不在だけに原因を求めるのは間違っていることになります。
「企業家としての国家」という本で僕は衝撃を受けました。
この本の内容を参考にしながらこの章を書いていきます。
アップルは実は、完全に市場主義の実力の世界で勝ったわけではありません。
公的資金の援助、公的研究費のおかげで実現したテクノロジーを、スティーブ・ジョブズらがデザインなどで付加価値を出したのと、マーケティング戦略などによって花開かせたのです。
iPhoneの裏にある技術で、公的研究費以外で実現したものは一つもありません。
情報通信技術、インターネット技術は元より、GPS(全地球測位システム)、タッチスクリーン画面、音声起動SIRIなどは全て政府資金によって可能になりました。
そして、大問題なのはアップルが税逃れをしているという点です。
公的支援によって成功を収めたのに、税金で返していないのです。
節税すれば、経営者や投資家だけが利益を得ることになります。
また、グーグルのアルゴリズム技術は、アメリカ国立科学財団(NSF)という公的セクターの研究資金で開発された事実もあります。
他には、ベンチャーキャピタルが乗り込んでくる前に、バイオテクノロジーの基礎を作ったモレクローナル抗体は、イギリスの公的研究機関である医学研究審議会(MRC) で発見されました。
さらに、アメリカの多くの革新的なベンチャービジネスは、民間ベンチャーキャピタルの資金援助を受けておらず、アメリカ中小企業技術革新研究(SBIR)プログラムによって研究資金を提供されました。P71~72。
2 インターネット、バイオテクノロジー、ナノテクノロジーの話
インターネットやナノ技術は民間企業が目を付けましが、投資資金を調達できなかったから、国が後を引き継いで実現したというものではありません。
両技術とも民間企業が考えもしなかったもので、政府が将来的視野をもって動いたから実現したのです。
しかも、両技術が政府から公表されても、民間企業は怖くて投資に踏みきれませんでした。
インターネット技術については、市場に乗せるまで政府が支援し続けました。
バイオテクノロジーやナノテクノロジー分野に、民間ベンチャーキャピタルが投資するようになったのは政府支援の後、何年もしてからです。P73~74。
すべてのイノベーションが、経済全体に成長をもたらすわけではありません。
一般的に言って、経済全体の成長は電力とかコンピュータの出現で見られたように、新製品や工程に広汎な影響を与えることで起こります。
3 GPTs の話
こうした技術はマクロ経済学の観点から、多目的な汎用技術(general purpose technologies GPTs)と呼ばれます。
GPTsは3つの中心的特質があります。
1 多くの分野に広がる。
2 時間とともに技術が向上して使用者のコスト削減効果も継続して広がる。
3 新製品の製造や新しい工程を通してイノベーションを生みやすくする。
ラッタン(2006)は過去一世紀を見ると、大規模で長期にわたる政府投資が、すべてのGPTsのエンジンになっているとします。
4 政府投資、国家主導の話
彼はアメリカの6つの複合技術の発展(フォード式の大量生産技術、航空技術、宇宙技術、情報技術、インターネット技術、原子力技術)を分析して、政府投資なくしてはこれらの技術が世に出ることはなかったと結論付けています。
特に、原子力技術については、巨額の政府支援がなければ、間違いなく起こり得なかったとします。
これら複合技術は単に資金を提供する、あるいは技術進歩環境を整えることだけで、可能になったものは一つもありません。
重要なのは技術の将来性を俯瞰して、リスクも不確実性も高い初期研究に本気で取り組み、市場に乗せるところまで関わることです。(ラッタン2006)。 P143~144。
シリコンバレーを現在の形にしたのは、様々の形で実施された連邦政府支出、企業戦略、産学協同、そして最も重要な因子、冷戦時の防衛戦略に基づいて優先的に力が注がれた技術革新です。(レスリー2000、49)。
こうした事実にもかかわらず、政策立案者たちはシリコンバレーモデルを、ベンチャーキャピタルが作った革命だといまだに信じ込んでいます。P145。
他にも、製薬業界やグリーンテクノロジーのイノベーションについても、著者は国家主導だと言っています。
不確実性が高い分野は、企業は投資に尻込みするのです。
不確実性の高さ(リスク)を国家が先導的に主導することで、企業も後から安心して追随できるわけです。
しかし、そのリスクを国家が主に背負い、企業は売上を上げても税金として返しません。
言わばただ乗りしているわけです。
これらの問題を解決する方法は本書を読んでください。
「イノベーションが国家の力が大だった」という視点は僕にはないものでした。
非常に参考になりました。
ではこの辺で。(3078文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
「企業家としての国家」