2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本7 第7章 中」PART2

どうも、武信です。(No168)  

 

前回の記事が以下です。

 

 

2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本7 第7章 中」PART2です。  

 

構想約5年以上!総文字数約31万2000文字以上の執筆物です。  

 

フィクサーだと僕が思う理由は、2014年頃(正確には2013年頃から着手)から、この本を書き始めており、それと連動して日本の教育改革も進んだことが、まず挙げられます。  

 

また、それ以上の確固たる証拠もありますが、それは伏せることにします。(本が1冊書けるほどの情報量になります)

 

 

7 ジョブ型への移行の課題

 

今後、日本では「キャリアの途中から一定数のメンバーシップ型正社員をジョブ型に移行させる」必要があると考えます。  

 

つまり、大卒で新卒一括で雇われてから10年ほど30代前半から半ばあたりから、さらに、「幹部を目指すメンバーシップ型正社員」「幹部を目指さないジョブ型正社員」に分けていくということです。  

 

「ジョブ型正社員」になった後は、「職務給」であるため、欧米のように賃金は上がりにくくなるでしょう。(つまり、ほぼフラットになります)  

 

日本の新卒一括採用の良さ(育てる、能力を見極めるなど)を活かし、入社10年前後は、様々な部署で経験を積みながらスキルを磨き、幹部の道を選ぶかどうかを社員に決めさせればいいのです。  

 

ジョブ型が一般的になると、男性中心社会が崩れるので、欧米のように共働きが一般的になるでしょう。

 

同時に、長時間労働抑制、ワークライフバランスも実現されるでしょう。  

 

8 ジョブ型への移行の課題の解決策

 

ただし、課題もあります。  

 

欧米では、子供の養育費住居費といった生活費の負担が軽いのです。  

 

理由は、「教育費や保育、住居費に関わる公的社会支出」が欧州では大きいからです。  

 

OECDデータによれば、保育・従業前教育、出産・育児休業給付、家族手当などの、家族関係社会支出の対GDP比は日本は1.04%です。  

 

スウェーデンは3.25%、イギリスは3.27%、フランスは3.00%、ドイツは1.88%となっています。  

 

しかし、日本では消費税個人所得課税が少ないです。

 

つまり、「家族コスト」については、「私的な問題」であり、家族の問題だという認識が日本なのです。  

 

欧州では「政府の役割」という意識です。

 

ということは、日本の貧困層は極めて苦しい立場に置かれます。  

 

日本の貧困層とは、「弱い立場の女性やシニア層や中高年」になるでしょうか。  

 

女性は従来から、専業主婦やパート層が多く、「いきなり働いて即戦力になってくれ」と言われても急にはなれません。  

 

「ジョブ型正社員」になれと言われても急には難しいのです。  

 

さらに、今後の少子高齢化により、シニア層が増えていきますが、そのシニア層も急に「ジョブ型正社員」になれと言われても難しいでしょう。  

 

また、中高年は家庭を持っている場合、子育て費用などは日本では「私的な問題」なので、「メンバーシップ型正社員」から「ジョブ型正社員」に変わった場合、費用負担に耐えられない可能性も残ります。  

 

加えて、欧米でジョブ型が成り立っていたのは、女性の就業率が高く、夫婦共働きが一般的だったからです。  

 

日本でも、最近は共働きが増加傾向ですが、欧米では保育支援が整備され、なおかつ男性の育児も盛んですが、日本では子育て環境の整備も遅れ、女性が子育てと仕事を両立させるのは困難です。  

 

欧米では男女間の賃金格差が小さく、男性が労働時間を短くし、育児、家事を分担し、女性が就労することも可能ですが、日本では「男女間賃金格差」が大きく、男性が長時間働き、女性が育児、家事を主に分担することで成り立っていたので、急にその役割を変えるのは難しいです。  

 

欧州と同じ環境下ではないので、ジョブ型への急な移行は困難を伴います。  

 

この問題を解決するには、保育支援の充実と「同一労働同一賃金」を男女間に適用することでしょう。(もちろん、女性の能力向上あってのことです)  

 

そうすれば、「男女間賃金格差」が縮まり、男性が労働時間を減らして、育児、家事に参加し、女性が就労するという欧米型に近づくことになります。  

 

様々な課題がありますが、ジョブ型への移行は不可欠の流れと言えそうです。

 

さらに、「メンバーシップ型人事」から「ジョブ型人事」に移ることになりますので、従業員を自在に配置転換できなくなるので、組み合わせ方を考えなければならない「面倒くさい人事」に変わります。  

 

その結果、ジョブ型ポストは一つ一つのポストに社内公募をかける形になるため、個々のポストに要求される能力が明確化されることになるでしょう。  

 

9 ジョブ型社員のスキルの身につけにくさ

 

しかし、ここで問題があります。  

 

ジョブ型正社員になると、スキルを身につけにくくなるのです。  

 

「業務が限定されている」と「スキルを高める機会があまりない」、または「業務の範囲が幅広い」と「今より高いレベルのスキルを要する仕事を経験できる」は、正の相関が高いのです。P72。  

 

教育年数や勤続年数が長くなれば、スキルの習熟度は高まる一方、残業や転勤・配置転換のない正社員のスキルの習熟度は低く、職務限定型の場合は、勤続年数によるスキル習熟効果は明確に弱くなることが明らかになりました。

 

限定的な働き方は、スキルに負の影響を与え得るのです。P72。  

 

満足度でも、「スキルを高める機会があまりない」人は低く、「今より高いレベルのスキルを要する仕事を経験できる」人の満足度は高い結果になりました。  

 

「メンバーシップ型正社員」のスキルの構築は、配置転換による様々な部署の経験がモノを言っていたのです。  

 

だからこそ、スキルアップが重要な若年期は、「メンバーシップ型正社員」で働くのが有効でしょう。  

 

途中から、ジョブ型へ移行した場合、「どうスキルアップをさせるか?」は今後の日本企業の課題と言えます。  

 

10 ジョブ型社員の働き方

 

  「ジョブ型正社員」を守ったり、地位を向上させるために、「企業横断的な人材交流の場や組合など」を作ったり、「人材育成の場」を作る必要があると思われます。  

 

解雇をしやすくする前にはまず、「企業横断的なジョブ型の組合」や「能力育成の場や仕組み、転職市場の整備」が不可欠であり、それらがあってこその解雇です。  

 

それらが整備されないで、安易に解雇されたら、転職はできず、能力も高められず、転職できたとしても、賃金は大幅に下げられ、「ジョブ型正社員」の地位はもろくなります。  

 

さて、「メンバーシップ型正社員」とは会社側に忠誠を誓い、「何でも屋」になることで雇用も最優先に守られ、処遇も良くなりますが、一方で「家族や自分のプライベートやキャリアの一貫性を犠牲にした働き方」と言えます。

 

対して、「ジョブ型正社員」とは会社とは一定の距離を置き、専門性を磨き、組織にしがみつかず、「家族やプライベートを重視する働き方」と言えるでしょう。  

 

「ジョブ型正社員」の一般化とともに、ICT(情報通信技術)を徹底活用するのも大事です。

 

在宅勤務(テレワーク)であれば、時間・場所を問わない働き方ができます。  

 

テレワークの問題点は、長時間労働を助長する点です。  

 

在宅勤務は生産性を上げると言われていましたが、それは長時間労働のせいかもしれないのです。  

 

11 補足

 

補足として、これらの欧米と日本の「職務給」(ジョブ型)と「職能給」(メンバーシップ型)の違いのシステムの労働者は、国のどれだけの割合を占めているのでしょうか?  

 

これらの「典型労働者」は、「労働組合加盟の従業員」になります。  

 

「労働組合の組織率」を日本と欧米で比較すると、日本では2割弱ですが、米国は1割強です。

 

欧州はばらつきが大きいですが、北欧諸国は7割程度であり、ドイツでは2割程度、フランスでは7%です。

 

つまり、「職務給」(ジョブ型)や「職能給」(メンバーシップ型)の典型労働者のルールが、それらの「典型労働者以外」(例えば日本では7割強になりますかね)に、どれだけ用いられているかは重要なのです。  

 

労働組合はこの点に影響を与えます。詳しくはP31です。(省きます)  

 

欧米の場合は「労働組合の組織率」にかかわらず、「職務給」(ジョブ型)のシステムがかなりの程度、「非典型労働者」にも適用されています。  

 

対して、日本では「企業内組合」が中心なので、労働組合はその企業の「典型労働者」(職能給・メンバーシップ型)の人のことを考えます。  

 

つまり、「組合に属さない非典型労働者」(非正規労働者のこと)は考えません。  

 

さらに、「典型労働者」は男性社員に限られ、女性社員の多く(総合職の女性は除く。一般職の女性のこと)は含まれません。  

 

大企業における総合職は、「幹部候補生」であり、一般職は「定型・補助業務」です。  

 

労働組合のない中小企業も、大企業の「職能給」(メンバーシップ型)を真似ている会社もありますが、経営体質が弱いところが多いので、大半の中小企業・零細企業では解雇が簡単に行われているようです。  

 

以上、日本では「典型労働者」(職能給・メンバーシップ型)と「非典型労働者」(非正規社員や大企業の一般職など)は明確に分かれているので、「職能給やメンバーシップ型が日本の労働の標準」だと考えるのは間違いでしょう。  

 

欧米の場合は「職務給・ジョブ型」は、「非典型労働者」にも適用されています。

 

ここが日本と欧米の異なる点です。  

 

ではこの辺で。(4496文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

 

参考・引用文献。

 

 

「人材覚醒経済」

 

「同一労働同一賃金の衝撃」

 

2冊とも良書です。お勧めですよ!

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