どうも、武信です。(No127)
2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本2 序章」PART2です。
前回の記事が以下です。
2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本2 序章PART1」
構想約5年以上!総文字数約31万2000文字以上の執筆物です。
フィクサーだと僕が思う理由は、2014年頃(正確には2013年頃から着手)から、この本を書き始めており、それと連動して日本の教育改革も進んだことが、まず挙げられます。
また、それ以上の確固たる証拠もありますが、それは伏せることにします。(本が1冊書けるほどの情報量になります)
序章「今の日本の世の中の構造を把握する」
4 アベノミクスの採点基準
高橋洋一氏は、アベノミクスの採点基準は2つあると言っています。
金融政策で「どれだけ失業率を下げられるか」と、財政政策で「GDPを成長させられるか」です。
高橋氏によれば、金融緩和で、失業率は構造失業率にかなり近付いており、90点を付けられると言います。
財政問題については、2014年での増税により、GDPを停滞させたことはありましたが、その後の増税再延期の判断は正しかったので、半分の50点を付けられるそうです。
金融政策6割、財政政策4割の配点なので、54点+20点の74点だそうです。
今後の財政政策や構造改革により、+αの加点が期待できるとのことです。
しかし、僕は思うのです。
失業率の低下の大きな要因は、若年労働人口の減少だろうと。
過去10年間で、25~35歳の労働力人口は、2割も減少しています。
現在の人手不足(特に、飲食などのサービス業は顕著)により、失業率が低下したと言えます。
好景気だから、失業率が低下したわけではありません。
よって、企業は賃金を上げづらくなります。
それに和を掛けるように、中高年層の労働者の増加(パートタイムの低賃金者)により、正社員は若者を中心に少数精鋭化しました。
少数精鋭の正社員もパートタイムの中高年も、賃金は上がりにくいです。
日本の65歳以上の労働力人口は過去10年間で、男性は約40%、女性は約50%も増えています。
さらに、日本の解雇規制(正社員を解雇できないなど)が、人件費抑制に働きかけます。
正社員を解雇できないから、若者をより選別して、少数精鋭の正社員化につながりますし、中高年は賃金を下げられパートタイム的になります。
ところで、失業率の低下により雇用が増加することで「自殺率の低下、犯罪率の低下、生活保護受給率の低下になる」と高橋氏は言っています。
自殺率については記述があり、民主党政権の2010年から2012年における平均自殺者数は、年間2万8300人で自殺率は10万人あたり22.4人でした。
対して、2015年には自殺者数は2万4025人、10万人あたりの自殺率は18.9%(%ではなく、人の間違い?調査中)と大きく改善したようです。P93。
しかし、生活保護受給率は、過去最大になったという記事があります。
高橋氏は、「60歳になってから高給取りを目指すのは無理だし、年金を支払ってこなかったことを責めても仕方ない」と言っています。
つまり、僕が思うに、生活保護受給率が最大になったのは、老人の受給率が増えたことが原因なのでは?という仮説です。
失業率低下(同時に雇用増加)により、生活保護受給率が低下するのでしょうか?
今後、老人の貧困が増えるならば、生活保護受給率は逆に上がる可能性もあると思います。
貧困の中心が若者から中年ぐらいであれば、失業率低下(同時に雇用増加)は生活を安定させるので、生活保護受給率は低下するでしょう。
高橋洋一氏の見立てに疑問を抱いています。
5 日本の格差
さて、日本の格差は下方向で拡大しているようです。
相対的貧困率(可処分所得が中央値の半分以下の人の割合)で、2012年の数値は16.1%となっています。
先進国ではかなり高い数値であり、これほどまでの貧困率は、アメリカと日本ぐらいです。
欧州各国では、1桁台がほとんどです。
上方向の格差は、日本以外では拡大しているようです。
好景気の時に一般的には、格差は増大します。
それは、資産価格(利子や配当や家賃収入やキャピタルゲインなど)が上昇し、資産からの所得が増えるからです
株価や不動産価格が上がれば、金持ちはいっそう金持ちになります。
日本でもっとも金持ちが多い市区町村は東京都港区ですが、給与所得だけで見れば、ここ数年間はほとんど上昇していません。
しかし、株式の売却益などを含めると、港区民の所得は1.5倍に拡大しています。
しかし、累進課税制度などを含めた高所得層への高い税率や社会保障制度などを考えると、日本の上方向への格差はそれほどでもないようです。P42~45。
6 アメリカで起きていることと日本企業の低迷要因
さて、日本の現状分析をある程度しましたがでは、アメリカでは何が起きているのでしょうか?
それはイノベーションです。
ITを中心に、新興企業が続々と出ました。
Apple、Google、Microsoft、Amazonの躍進は記憶に新しいところです。
対して、日本の産業は昔ながらのトヨタなどを中心とした製造業です。
東芝、シャープなどの電機産業は壊滅的になりました。
ソニーは何とか堪(こら)えていますが、Appleとの差は明白です。
日本企業の低迷の要因として「6重苦」があると言われています。
1 過度な円高、
2 高い法人税率、
3 厳しい労働規制、
4 貿易自由化の遅れ、
5 温室効果ガスの排出抑制、
6 電力供給事情への不安
です。
しかし、安倍政権により、これらの大方が解消に向かいました。
残る課題は「岩盤規制の緩和」や「成長分野の開拓」などでしょう。
しかし、円高に進むことはあっても、円安に戻ることはないと予測されており、原子力発電への依存度も今後、減るので電力供給への不安は尽きないでしょう。
日本の製造業が国内回帰するとしても、限定的に過ぎず、もはや輸出立国モデルは崩壊したとも言われています。
日本の製造業は、輸出立国モデルが崩壊した今、グローバル化に対応した新たなモデル作りが求められています。
さて、企業価値ランキングではAppleが66兆円、Alphabet(元Google)が57兆円、Microsoftが48兆円、Facebookが35兆円、Amazonが30兆円であり、IT企業の活躍がめざましいです。
対して、日本の時価総額ランキングではトヨタ自動車が18兆円、NTTドコモが10兆円、NTTが10兆円、JTが9兆円、KDDIが8兆円、三菱UFJフィナンシャル・グループが7兆円、日本郵政が7兆円と古い体制の企業ばかりが目立ちます。
さらに、日本人の平均給料は低迷中なのです。
日本をアメリカと同レベルまで国力を持っていくためにも、教育改革が必要だと僕は感じ、執筆しました。
詳しくは、第2章以降で書いています。
7 内需の割合が大きい
しかし、こういう意見もあります。
三橋貴明氏の分析です。
家電や乗用車の輸出額がGDPに占める割合は、非常に小さいです。
パーセンテージで見ると、家電・乗用車・家具・住宅などを含む耐久消費財全体で、GDPの2.10%、乗用車が1.65%、家電が0.02%しかありません。
日本がTPPに参加しても、大きなプラスになるとは思えません。
耐久消費財全体でGDPに占める割合が、2.10%から2.30%くらいに増える程度ではないでしょうか。
日本企業のソニー、パナソニック、日立、東芝、キャノン、富士通などの電機メーカーの実際の輸出額が、GDPに占める割合は大きくありません。
トヨタ、日産、ホンダの乗用車にしても、いまや海外で現地生産するほうが圧倒的に高いのです。
日本は耐久消費財の輸出で、食っているわけではありません。
2010年のデータ。P194。(「プロのグラフ仕事 伝えるためのExcelエッセンス」より)
内需の割合が大きいということでしょう。
冨山和彦氏のG型とL型の提言で言えば、L型の地方やサービス業を強化すべきなのかもしれません。
僕の本では、G型を強化する主張がほとんどを占めます。
8 GDPの話
そもそもGDPを増やすには、
1 労働力人口の増加、
2 資本の蓄積、
3 イノベーション(生産性)
しかありません。
労働力人口が増えれば生産力が高まるとともに、消費者でもありますから、市場が大きくなります。
需要が増えるので、企業も投資していきます。
人口が減っても、イノベーション(技術革新)があればある程度、補えます。
イノベーションを起こすには、投資が必要です。
投資するには、資本の蓄積が必要であり、外国に借りると利子や配当が必要になり、効率が悪くなります。
自国に資本蓄積がある方が有利です。
イノベーションが優れていると、同じ人口や資本を使っても効率よく経済を拡大できます。
アメリカは人口が増えている上に、イノベーションも上手く活用しました。
よって、過去20年間でアメリカはGDPが2.4倍になったのです。
ドイツもGDPを、過去20年間で1.8倍、増やしました。(ちなみにフランスはドル換算で約2倍、新興国もすべてを平均すると、約2倍です)
2012年のデータによれば、ドイツの輸出依存度は41.42%であり(輸入依存度は34.36%)、日本の輸出依存度13.44%と比べると大幅に高いです。
ドイツのGDPが増えた理由は、EU内において輸出を増やしたからでしょう。
ドイツを見習うとしたら、TPPなどの貿易圏内を作り、日本の輸出依存度を上げて、さらに輸出を増やすことが考えられます。
日本の内需は今後、縮小していくでしょうから、外需に活路を見出すしかないかもしれません。
僕はアメリカの手法、特にイノベーションを活用する方法を採りたいと思います。
ちなみに、労働時間から見た購買力平価GDPという指数があります。
これはGDPを労働人口と平均労働時間で割ったもので、要するに「1時間当たりにどれだけの富を生み出しているか」を数値化したものです。
この指数ランキングで、日本は先進国(アメリカ、イギリス、ドイツ)では最下位で韓国よりは何とか上です。
ドイツはトップであり、日本の約1.5倍、つまり日本人が1時間働いて儲けが100円だとすると、ドイツ人は同じだけ働いて150円儲けている計算になります。
この数値の裏には、ドイツの標準化されたサービス、つまり対応が規則的であり、相手の事情を汲まないことが関係すると思われます。
日本は真逆で、おもてなしの文化であり、臨機応変な対応をするので時間が無駄にかかるのです。
そういう意味では、暮らしやすさにおいては日本の方が上でしょう。
生産性の数値は低く出てしまいますけども。
ドイツ人は長時間労働をする気はない国民性なので、日本とは比較がしづらいかもしれません。
ここで「デービット・アトキンソン新・所得倍増論」の本の著者デービット氏によると、日本が戦後、国力を維持した主な理由は、人口ボーナス(人口による恩恵)のせいという主張を紹介します。
GDPに影響を与えるのは、人口がほとんどを占めており、日本が戦後、アメリカに次ぐGDP3位に成長できたのは、人口規模のせいだと言います。
2000年代に入ってからは明らかに、1人当たりGDPでは劣る中国が、GDPで日本を追い抜き2位になりました。
ちなみに、現在の日本の1人当たりGDPは27位です。(購買力調整後のランキングです。円の価格変動は激しいので、為替などの影響を排除する購買力潮位製は必要です)
さらに言うと、先進国の労働者1人あたり生産性ランキングは17位です。(2015年)
これはイタリアやスペインを下回っており、ギリシアより多少上のレベルです。(イタリアは9位、スペインは14位、ギリシアは18位)
つまり、さきほどの1人当たりGDPの27位より悪化しています。
日本は高齢化が進んでおり、65歳以上の比率が26%(2014年)であり、アメリカを除く先進国の高齢化比率も、おおむね20%前後となっています。
日本と並んで高齢化が深刻なのはイタリアやスペインですが、1人当たりGDPはそれぞれ、イタリアが31位、スペインが32位となっています。
高齢化が生産性を下げているように見えますが、イタリアの失業率は12.5%、スペインは24.7%であり、日本の失業率は3%台なので「高齢化」という共通点だけでは正確な分析は難しいでしょう。
失業率が極端に高く高齢化進行中のイタリアとスペインより、失業率が極端に低く高齢化進行中の日本が、「先進国の労働者1人あたり生産性ランキング」で負けているのですから、日本の生産性の低さは深刻と捉えるべきでしょう。(さらに、この本ではアメリカの全50州の中で、日本の生産性は第49位と50位の間、ミシシッピ州より少しだけ上という残酷なデータも提示しています)
ではこの辺で。(5816文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献
PART3に続きます。
2020年教育改革への僕の本「フィクサーによる日本の教育改革本2 序章PART3」