初心者のための経営学の教科書「俯瞰経営学1」前置き編 PART4

どうも、武信です。(No319)  

 

「フィクサーによる日本教育改革本」も教育の全体図・俯瞰図でしたが、経営学でも俯瞰図を作ろうという野心で作ったのが本書です。  

 

「フィクサーによる日本の教育改革本」も教育業界に影響を与えていると思われますが、この俯瞰経営学も多少は影響を与えているかもしれません。  

 

作り始めたのは3年くらい前ですし、まだ未完成ですが、出版社らにパクられまくり、新規性がなくなったので、無料で公開します。  

 

前置き編です。

 

PART4です。  

 

前置きだけでこんなに長いのか?」と思われる方もいるでしょうが、本編を読む上でも、また経営学を理解する上でも重要な知識なので、前置きと思わず、じっくりと読んで習得してください。  

 

 

7 「最強の経営学」の理論の前置き(環境激変についていけなかった事例&構想で打ち勝った事例)

 

続けて、環境激変についていけなかった事例を挙げておきます。  

 

コダックは写真のデジタル化を軽視しました。

 

コダックの経営陣は「人々は銀塩フィルムを愛しており、デジタルの解像度が銀塩フィルムを超えることはない」と言い続けていましたが、デジタルの解像度は猛烈なスピードで上がり続け、それを収めるハードディスクの要容量も増え続けました。  

 

結果、人々は銀塩フィルムよりも、デジタルの便利さを選び、コダックは倒産しました。  

 

AT&Tの経営陣は「データ通信より音声通信が重要」と信じ続け、インターネットにまったく興味を示さず、解体に追い込まれました。  

 

IBMの経営陣は「メインフレームがコンピューティングの王様でパソコンはおもちゃだ!」とマイクロソフトのOS支配を軽視しましたが、PCの時代がやってきて、IBMは1993年に大リストラを行い、今はハードウェアから、ソリューションカンパニーへ移行し、何とか生き延びています。  

 

これと似たような構造が、自動車業界にもある気がします。  

 

「車は愛車なんだ、所有欲をかきたてるものだ」や、「若者の車離れが起きているのは先進国だけだ」や、「中国では車は若者の憧れだ。まだまだインドやアフリカで売れる」などの、現在の自動車産業の経営陣の声です。  

 

しかし、上記で見たように、ウーバーなどの台頭により、シェアリングエコノミーが発達し、「車は移動の手段に過ぎず、カーシェアで十分だ」や「「ドライビングは苦痛だ。運転中はスマホは使えないし、事故は嫌だ。できればしたくない」というふうに、20代の若者の価値観が転換するかもしれません。  

 

では、環境の激変にも負けずに勝った事例はあるのでしょうか?

 

構想で打ち勝った事例として、P&Gを挙げておきます。  

 

P&Gの競合他社は、東欧全域での事業展開の際、国ごとの保守主義を懸念して、「それぞれの国ごとに工場を買う」などして、リスクを分散させました。  

 

または、固定資産を東欧域内には持たず、西欧から輸出したり、提携を活用することなどにより、リスクを回避する方法もあります。  

 

その当時の東欧は、1989年のベルリン崩壊の時であり、政治リスクが多分にあったからです。  

 

しかし、P&Gは東欧全域をひとつの市場と見立てて、各国政府に働きかけました。

 

関税や非関税障壁の撤廃などを提言した上に、自由貿易圏の旨味を味あわせたのです。  

 

そして、自由化の動きを促進させ、もはや、後戻りをさせないようにしました。  

 

自由化の失敗という政治リスクを起こさせないように、環境さえも変えてしまったのです。  

 

詳しくは、「正解が見えない課題を圧倒的に解決する超仮説思考」のP217~223に描かれています。

 

興味ある方はその本で。  

 

次の、構想で打ち勝った例として、Amazonを挙げておきます。  

 

Amazonは最高の品揃えと短い配送時間を実現するために、「ネット企業がリアル店舗を持つなんて意味が分からない」という声を無視し、巨大な物流倉庫を造ってきました。  

 

さらに、新品の本と中古の本を同じページに並べて、顧客が選べるようにしたところ、「そんなことをしたら新品が売れなくなる」という声が上がりましたが、それも無視し、成功を収めてきました。  

 

最近では、AmazonEchoという製品で、さらなる差別化を図っています。  

 

自社物流を持たない楽天はピンチかもしれません。(最近、楽天は自社物流を作り始めているようです)  

 

このように、構想で差別化することは大事です。  

 

構想で差別化し、ルールを創造することは大事ですが、民間企業だけでやるのは至難の業です。(特に海外においては)  

 

アメリカにあるドイツ企業が問題に直面した際、在米ドイツ大使館とEU代表部が文句を言いに来ます。

 

他の国は民間企業のために、国が力を貸すのです。  

 

ルール制定には国が関与します。

 

国を動かさなければいけません。  

 

民間企業だけのビジネスモデル創造だけでは、限度があるのです。

 

その点が日本企業は弱く、海外での勢力争いに負けている気がします。  

 

この点をまず頭に入れておきましょう。  

 

8 「最強の経営学」の理論の前置き(情報革命がもたらした世界が見えているか?)

 

環境の激変にも負けず、構想で打ち勝ってきた事例を挙げてきましたが、「ここで構想とは何なのか?」を説明することにします。  

 

まず構想とは、「何が見ているのか?」と「何が見えていないのか?」を把握する必要があります。  

 

「見えていない世界」を把握することが大事であり、ライバルとの差別化につながります。

 

人工知能で、「人間には見えないパターン」を抽出しようという動きさえあります。  

 

「グーグルとFacebook」とGEを、比較してみましょう。  

 

前者2社とGEでは、販売費および一般管理費に大きな違いはないのですが、売上原価研究開発費には大きな違いがあります。  

 

GEやソニーなどの製造業は製品をつくっているので、売上原価が6~7割かかります。  

 

しかし、グーグルやFacebookはモノを作っていないので、売上原価はグーグルで4割、Facebookで2割にも満たないのです。  

 

グーグルの売上原価が使われる先は、アドワーズで広告を出すサイトのオーナーに支払う広告費の分け前です。  

 

こうして浮いた売上原価を、研究開発費と利益に振り向けます。  

 

産業革命の企業では、売上高に占める研究開発費は5%を超えていれば高いのですが、この2社は売上高の20%近くを将来の事業を生み出す研究開発にあてています。  

 

さて、Amazonとウォルマートも比べてみましょう。

 

売上原価と販売費および一般管理費には両社とも大きな差はありません。  

 

しかし、Amazonは研究開発に10%近くも充てています。(小売業では考えられません)  

 

ウォルマートのような小売業は研究開発ではなく、出店で事業成長をさせていました。  

 

ところが、ネットの時代には店舗の価値が弱くなっているのです。  

 

このように、「情報革命がもたらした世界が見えているか?」が重要です。

 

「何が見えていなくて、何が見えているか?」が重要なのです。  

 

人間は無意識で、注意・関心を向ける視点が違います。

 

いわゆる、スコトーマと呼ばれる現象です。  

 

見えない世界、無意識のうちに捨てている世界や情報を見るためには、世界をありのままに見ることが大事なのです。  

 

ゴールを明確に定めますと、それ以外の情報は捨てさられることになります。  

 

つまり、ありのままの世界を見て、見えない世界を見るためには、ゴールを明確に決めすぎるのは、良くないということになります。

 

注意・関心がゴールばかりに向くからです。  

 

ではこの辺で。(4354文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。  

 

参考・引用文献。  

 

「正解が見えない課題を圧倒的に解決する超仮説思考」  

 

参考引用文献がわからなくなったので、僕の「俯瞰経営学」で参考にした本は全冊載せておきます。  

 

参考・引用文献。

「27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10」

「正解が見えない課題を圧倒的に解決する超仮説思考」

「超・検証力 その仮説は本当に成果を出せるのか?」

「世界市場で勝つルールメイキング戦略」

「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」

「ビジネスモデルナビゲーター」

「リクルートのすごい構創力」

「0to100会社を育てる戦略地図」

「世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法」

「数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方」

「文系が20年後も生き残るためにいますべきこと」

「マッキンゼーが予測する未来」

「RPA革命の衝撃」

「日本流イノベーション」

「統計学が最強の学問である ビジネス編」

「入社10年分の思考スキルが3時間で学べる」

「大前研一IoT革命」

「新富裕層の研究」

「ビジネスで使える経済予測入門」

「定量分析の教科書」

「稼ぐ人財のつくり方」

「社員20人なのに新卒採用に1万人が殺到。日本一学生が集まる中小企業の秘密」

「リーダーの基準」

「INNOVATION PATH イノベーションパス」

「イノベーションの壁」

「確率思考の戦略論」

「未来を味方にする技術」

「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」

「あなたの会社が最速で変わる7つの戦略」

「ビジネスモデル思考 既存ビジネスから「イノベーション」を生む7つの視点」

「賢い企業は拡大主義より永続主義」

「なぜデータ主義は失敗するのか?」

「戦略にこそ「戦略」が必要だ」

「手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略」

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