初心者のための経営学の教科書「俯瞰経営学3」PART3

どうも、武信です。(No332)  

 

「フィクサーによる日本教育改革本」も教育の全体図・俯瞰図でしたが、経営学でも俯瞰図を作ろうという野心で作ったのが本書です。  

 

「フィクサーによる日本の教育改革本」も教育業界に影響を与えていると思われますが、この俯瞰経営学も多少は影響を与えているかもしれません。  

 

作り始めたのは3年くらい前ですし、まだ未完成ですが、出版社らにパクられまくり、新規性がなくなったので、無料で公開します。  

 

「俯瞰経営学3」のPART3です。

 

本編はここからです。  

 

前置き編が終わって、ようやく本編に入ります。  

 

ここからが僕の経営学の俯瞰全体地図です。  

 

 

6 マーケティング(ケイパビリティ重視派)

 

さて、資源制約下の状況下において、自社の経営資源(ケイパビリティと以下、書きます)を重要視する戦略は大事、と説く本が出てきました。  

 

「なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか」という本です。  

 

僕なりに解釈した主張を書きますね。  

 

前に書いた「社内の経営資源を重視するRBV派に対して、外部市場における自社のポジショニングを重視するポーター派の対立論争」を思い出してください。  

 

「外部市場、どの市場で戦うか」を決めるのは確かに重要ですが、ケイパビリティも重要です。  

 

「どちらも重要」という結論で終わったはずですが、続きがあったのです。  

 

それは資源制約下の企業がほとんどですから、ケイパビリティあってこその経営になります。  

 

そして、ケイパビリティとは企業が長い期間をかけて培ってきたものであり、だからこそ、模倣が困難なものです。  

すぐに模倣できるなら、ケイパビリティなど何の強みでもありませんが、模倣は大体の場合、難しいのです。  

 

そして、企業は自社のアイデンティティを確立すべきだと感じます。  

 

自社の本当のアイデンティティとは何の価値を提供しているのか(価値提供)、独自のケイパビリティ、製品・サービスポートフォリオと定義します。  

 

そのアイデンティティを社員一丸で、一貫性をもって維持し、急速に変化する世の中の動向についていくべきなのです。  

 

つまり、外部市場の分析は大事ですが、まずケイパビリティありきであり(前に述べたマーケットインは難しいのです。プロダクトアウトありきが現実です)、外部の機会を捉えるといっても、ケイパビリティに沿った機会を狙い、一貫性を持ったケイパビリティ構築という戦略です。  

 

日本企業は多角化を、ケイパビリティに沿った一貫性の基に行われておらず、「自社が何者なのか」見失っているのではないかということです。  

 

ケイパビリティ構築も、単一のケイパビリティに依存するのではなく、複数の重要なケイパビリティの組み合わせを作り、差別化を行うべきです。  

 

また、コスト削減をただするのではなく、その結果として、コスト削減分をケイパビリティシステム構築に振り向けるべきです。  

 

つまり、選択と集中であれば、伸びる事業領域に資源を集中投資します。  

 

日本企業は伸びる分野を開拓せず、単にコスト削減に終わっているとするならば、じり貧になり、敗退になるかもしれません。  

 

ケイパビリティシステムを作る際には青写真が必要です。  

 

その青社員の基に、ケイパビリティを構築していき(一貫性)、コスト削減分はそのケイパビリティシステムを強化し、青写真を実現することで、企業を存続させるのです。  

 

ちなみに、青写真の描き方はあくまで、自社のケイパビリティの上に描かれるべきあり、マーケットインではありません。  

 

マーケットインにしてしまうと、結局、他社との差別化もできづらい上に、自社の強みも消してしまい、結局、「自社は何者なのか」というアイデンティティ消失となるからです。  

 

従来の戦略、マーケットインは「我々はどこに向かっているか」「我々はどこで成長するか」というものでした。  

しかし、ケイパビリティ重視の戦略は「我々はどのような企業を目指しているか」「どのように価値を付加するか」になります。  

 

アマゾンの例をあげましょう。  

 

アマゾンの青写真として、今後10年で変わらないものとして、「顧客が求めるのは幅広い選択肢、低価格、迅速な配送」があります。  

 

この青写真は、1990年代後半からのアマゾンの経営方針として、全く変わりません。  

 

この青写真を描くために、オンライン小売りのインターフェース設計、バックエンドのサプライチェーン管理、マーチャンダイジング、顧客関係管理、技術イノベーションの独自のアプローチの組み合わせという、ケイパビリティ構築はずっと一貫性があります。  

 

この一貫性あるケイパビリティ構築の上に、オークション、クラウドベースのサービス、キンドルの電子書籍、オンラインメディア配信、自動化したロジスティクス、速達オプションなど、イノベーティブな試みをどんどん導入しています。  

 

自社と関係ない領域でアマゾンが仮に勝負したとしたら、手痛い目に遭いそうです。  

 

「ファイアフォン」は失敗しました。(やはり、iPhoneが強かったのです)  

 

アップルの例も出しましょう。  

 

アップルの青写真とは、3~6つの特徴あるケイパビリティの集合体、総戦力です。  

 

例えば、デザインは一番初めに頭に浮かびますし、技術統合の能力(他社が開発したものをさらに改良もする)、直感的で使いやすいユーザーインターフェイス、マーケティング力、顧客サポート、iTunesやiPhoneアプリなど、他者にコンテンツを作らせるシステムなどのケイパビリティ体系があります。  

 

これら総合力で確固たる地位を確立した後は、その地位をずっと維持し、高い利益率を上げています。

 

ここから、テレビやウェアラブル端末、または、その他の未知の分野に拡大できるかは未知数です。  

 

戦略というと、縦横無尽に展開できる気がしますが、実は選択肢の範囲は自社の既存のケイパビリティと、これから合理的に構築し買収しうるケイパビリティに限定されるのです。  

 

つまり、自社の得意分野と自社がどのような企業かによって、市場での戦い方(戦略)は決まります。  

 

「何でも作れて売れる」という戦略は、資源制約下の企業には無理なのです。  

 

自社の青写真を描くケイパビリティシステムに合わない事業分野は切り捨てることで、一貫性があり、ぜい肉のない筋肉質な企業が出来上がります。  

 

7 マーケティング(顧客の根本欲求)

 

さて、顧客ニーズを捉えるには、顧客が本当に求めている欲求(顧客の根本欲求)を知る必要があります。

 

これこそが、人間起点アプローチです。  

 

例えば「涼みたい」という目的を達成するためには、「アイスクリーム、清涼飲料水、エアコンの効いた喫茶店、ホラー映画など」消費者は多様な選択肢を持ちます。  

 

企業側から見たら、競合はたくさんあるわけです。  

 

一つの欲求に対し、競合は山ほどあります。  

 

消費者の欲求「解決したい用事」が何かを掴み、競合に打ち勝つほどの魅力を作り上げ、伝えていかなければなりません。  

 

そして、「涼みたい」という欲求を満たすためなら、アイスクリーム会社が別の手段を使ってもいいのです。  

 

自分たちが「小売業だ」や「サービス業だ」と規定するのは良くないのです。  

 

コンビニも、コーヒーやドーナツを売る時代なのです。

 

ちなみに、コンビニのコーヒーは大成功しましたが、ドーナツは失敗のようです。  

 

理由として、潜在市場の大きさがドーナツは小さかったという話もありますが、僕はコーヒーは中毒性が高く、リピート率が高い商品であり、ドーナツは中毒性が低く、リピート率が低かったため(太るという印象も、買われる頻度が下がる要因)、飽きられるのが早かったのかなと予測しています。  

 

まぁ潜在市場の大きさといえばそれまでですが、ドーナツの商品性に注目したのが僕の分析です。  

 

また、アイスクリームを「涼みたい」という欲求群の競合の中で、優位に立つためには、他のライバルとの相乗効果が考えられます。  

 

「エアコンの効いた喫茶店で食べるアイスクリームもおいしいよね」とアピールするとか、「ホラー映画で怖がった後にアイスクリームを食べると運気が上がるよ」(強引なストーリーですが。キットカットの受験で合格とのアピールは良い)的なイメージを宣伝するとかですね。(ちなみにこれは、例えばの話であり、ホラー映画の後のアイスクリームで運気が上がるとは思えません)  

 

他には、清涼飲料水と味との相性がよいアイスクリーム作りなども考えられるでしょう。

 

競合も味方にしてしまうのです。  

 

そして、顧客の根本欲求を追求し、それに合った商品を提供する必要があります。  

 

人間の病気でいえば、根本原因を治療しない限り、対処療法になりますよね。  

 

顧客の根本欲求を追求し、それに合った商品を提供すれば、マーケティングの効果の効率も良くなります。  

 

企業の宣伝でいえば、商品が売れるために宣伝するわけですが、売れ行きとの関連性があまりない宣伝は、根本的な治療ではないのです。  

 

会社全体で言えば、全ての活動が売上げ改善につながる課題(根本原因)を治療することが非常に大事なのです。  

 

売上げ改善につながらない、もしくは弱い改善策はなるべく避けるべきです。  

 

8 マーケティング(効用の話)

 

そして、ニーズとは「Preference」(消費者のブランドに対する相対的な好意度(簡単に言えば「好み」)が、消費者の「エボークト・セット」(Evoked set。買っても良いと思っているいくつかのブランド群)の中から、選択されることとも言えます。  

 

思い浮かぶブランド群から、好ましいと思ってもらい、購買される割合を高めるのです。  

 

「ブランド間での競争」がビジネスの正体です。

 

それはニーズを満たすことであり、消費者の「解決したい用事」「効用」も満たすことです。  

 

消費者は必要としているのは「道具」そのものではなく、その道具が果たしてくれる役割、すなわち「効用」そのものです。  

 

効用には、「物理的な効用」「意味的な効用」があり、それぞれ別個の場合もあれば、これらが内在している場合もあります。  

 

神社のお守りは、100%「意味的な効用」です。

 

安価なビニール傘は、100%「物理的な効用」です。  

 

一般的には、産業財では、物理的な効用のほうがより重視されます。  

 

新製品開発のときには、効用は大事です。  

 

「新製品の増分効用の程度が大きいか小さいか」を横軸で表し(驚き(技術)の程度)、その「必需性の程度が高いか低いか」を縦軸で表します(必要性の程度)。図は省略。P15  

 

1  必要性高い・驚き(技術)の程度高い

例 電気炊飯器や冷蔵庫や電気掃除機、テレビやウォークマン  

 

2  必要性高い・驚き(技術)の程度低い

人々は驚かなかったが、必要性が高いので、多額のプロモーションにより市場に浸透する。  

 

3  必要性低い・驚き(技術)の程度低い

誰も驚かないし、必要性も少ないので、広告を掛けている間は売れますが、広告をやめると需要も落ち込む。

 

例 カップ麺や菓子類。

4 必要性低い・驚き(技術)の程度高い。  

 

一時的な流行に終わるような製品。

例 ルービックキューブやインベーダーゲームやたまごっち、スーパーマリオなどのゲームソフトなど。アイドル・タレントもこの特質を持っている。  

 

新製品開発においては、1の象限の「必要性高い・驚き(技術)の程度高い」が理想。  

 

様々な状況の人々の抱える必需性の高い解決すべき課題を考え尽くすことが必要です。

 

消費者は「どんな欲求を満たしてくれるのか、どんな用事を解決してくれるのか」を企業に期待しています。  

 

ではこの辺で。(5963文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。  

 

参考・引用文献。  

 

「なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか」

 

「確率思考の戦略論」

 

参考引用文献がわからなくなったので、僕の「俯瞰経営学」で参考にした本は全冊載せておきます。

 

参考・引用文献。

「27歳からのMBA グロービス流リーダー基礎力10」

「正解が見えない課題を圧倒的に解決する超仮説思考」

「超・検証力 その仮説は本当に成果を出せるのか?」

「世界市場で勝つルールメイキング戦略」

「ハーバードはなぜ日本の東北で学ぶのか」

「ビジネスモデルナビゲーター」

「リクルートのすごい構創力」

「0to100会社を育てる戦略地図」

「世界最高峰の頭脳集団NASAに学ぶ決断技法」

「数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方」

「文系が20年後も生き残るためにいますべきこと」

「マッキンゼーが予測する未来」

「RPA革命の衝撃」

「日本流イノベーション」

「統計学が最強の学問である ビジネス編」

「入社10年分の思考スキルが3時間で学べる」

「大前研一IoT革命」

「新富裕層の研究」

「ビジネスで使える経済予測入門」

「定量分析の教科書」

「稼ぐ人財のつくり方」

「社員20人なのに新卒採用に1万人が殺到。日本一学生が集まる中小企業の秘密」

「リーダーの基準」

「INNOVATION PATH イノベーションパス」

「イノベーションの壁」

「確率思考の戦略論」

「未来を味方にする技術」

「USJを劇的に変えた、たった1つの考え方」

「あなたの会社が最速で変わる7つの戦略」

「ビジネスモデル思考 既存ビジネスから「イノベーション」を生む7つの視点」

「賢い企業は拡大主義より永続主義」

「なぜデータ主義は失敗するのか?」

「戦略にこそ「戦略」が必要だ」

「手書きの戦略論 「人を動かす」7つのコミュニケーション戦略」

「カスタマーセントリック思考」

「日本企業で本当に役立つマーケティング7つの原則」

「機会発見」

「パラノイアだけが生き残る」

「超一流のアイデア力」

「経営とデザインの幸せな関係」

「降りてくる思考法」

「マーケティング零」

「ダークサイドスキル」

「なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか」

「図解&事例で学ぶWebマーケティングの教科書」

「なぜか売れるの公式」

「物語戦略」

「デジタル・トランスフォーメーション」

「ビジネス・リノベーションの教科書」

「シリコンバレー発アルゴリズム革命の衝撃」

「役員になれる人の「数字力」使い方の流儀」

「「経営の定石」の失敗学」

最新情報をチェックしよう!