初心者のための経営学の教科書「俯瞰経営学2」PART6

どうも、武信です。(No327)  

 

「フィクサーによる日本教育改革本」も教育の全体図・俯瞰図でしたが、経営学でも俯瞰図を作ろうという野心で作ったのが本書です。  

 

「フィクサーによる日本の教育改革本」も教育業界に影響を与えていると思われますが、この俯瞰経営学も多少は影響を与えているかもしれません。  

 

作り始めたのは3年くらい前ですし、まだ未完成ですが、出版社らにパクられまくり、新規性がなくなったので、無料で公開します。  

 

「俯瞰経営学2」のPART6です。本編はここからです。  

 

前置き編が終わって、ようやく本編に入ります。  

 

ここからが僕の経営学の俯瞰全体地図です。  

 

 

7 経営戦略(外部環境分析 標準偏差&ばらつきの話)

 

「ビジネスの世界は不確実だ」と、何回も述べてきましたが、ビジネスの世界が不確実だというのは理由があります。  

 

順に説明していきますね。  

 

この概念を理解しておくと、戦いやすくなるかもしれませんので。  

 

まず、標準偏差という概念を知ってください。  

 

正規分布において、平均値X近くが一番度数が高く、その標準偏差をSDとしたときは次のような関係性があります。  

1  X(‐が上につく)-SD≦X≦X(‐が上につく)+SDの範囲に分布全体の68.3%が含まれる

2  X(‐が上につく)-2SD≦X≦X(‐が上につく)+2SDの範囲に分布全体の95.4%が含まれる。

3  X(‐が上につく)-3SD≦X≦X(‐が上につく)+3SDの範囲に分布全体の99.7%が含まれる。  

 

2番目を「2SDルール」とします。  

 

例えば、知能指数(IQ)は平均が100であり、標準偏差が15となるように作られています。  

 

2SDルールから95%の人のIQは、70から130の間にあることが言えます。  

 

15がSDであり、2SDはその2倍ですから、30になり、100から上下に30の振れ幅(70と130)になります。  

 

人間は10%未満の確率(例えば5%)を、起こりにくいことと解釈する傾向があります。  

 

コイン投げで連続して表が何回出たら「怪しい、インチキだ」と思うかというと、4~5回くらいです。  

 

4回連続して表が続く確率は0.5の4乗で6.25%、5回連続だと0.5の5乗で3.125%なので、5%前後が起こりにくいことであると言えそうです。  

 

このことから、日常的に「データはだいたいこの範囲に収まる」と感じる確率は、100%から、起こりにくい5%を引いて、95%とすれば、2SDルールはかなり使えるルールと言えます。  

 

このことと不確実なビジネスの世界と何の関係があるのかと思うでしょうが、もうちょっと我慢して読んでください。  

 

ビジネスにおいて、日本企業は品質のばらつきを極力、少なくし、品質を一定に保つように心がけてきました。  

 

品質のばらつきは顧客の不満につながります。

 

日本企業は「ばらつきは悪」と考えてきたのです。  

 

しかし、経営の世界においては、ばらつきが多いほど、成功の確率も上がります。  

 

投資の世界でも「ローリスク、ローリターン」「ミドルリスク、ミドルリターン」「ハイリスク、ハイリターン」という言葉があります。  

 

「ハイリスク、ハイリターン」が投資での大成功だとすると、高いリターンを得るには、大きなリスク(標準偏差)を伴うということなのです。  

 

ばらつきがない市場においては、リターンも得られないのです。  

 

ばらつきが大きい市場というのは、まさに不確実な世界のことです。

 

そうです。ビジネスの世界です。

 

つまり、標準偏差という概念がここでつながってきます。  

 

日本企業の「ばらつきが悪」という戦略も、通用する場面もありますが(製品提供の場面において)、戦略としてはリスクを取らなければ、大成功は起きないということなのです。  

 

企業では差別化戦略を採ることもありますが、他の企業と差別化するということはリスクを採るということです。

 

「絶対に成功する企画やアイデア」があったら他社も採用します。  

 

なので、「成功するかしないか不透明な企画やアイデア」こそが、ばらつきがあるということであり、差がつく、成功する案なのです。  

 

リスクがある、ばらつきがあるからこそ、成功と失敗の明暗が分かれるのであり、それがビジネスの世界ということになります。  

 

そして、各々の企業の企画担当者は自分は正論を言っており、正しいと思っています。  

 

世の中において、対立の発生や企画が決まらないというのは、各々が「正しいことを言っている」と思っているからです。  

 

ロジカル、論理的に主張すればするほど、各々の正論は強化され、収拾がつかなくなります。  

 

よって決める、決断するには、誰かの案を特別に選んで、採用するか多数決を採るか(これはお勧めできない)、などになります。  

 

民主主義では投票という多数決で決まりますが、企業においては多数決は折衷案や無難な解決に収まる場合が多く、お勧めできないのです。  

 

誰かの案を特別に選んで採用するのが正解というケースが多いと思います。

 

それこそセンスがあり、正しいことを言っているクレイジーな人の案が正解かもしれません。  

 

ちなみに話が脱線しますが、「みんなの意見は案外正しい」という説があります。  

 

この説を成り立たせる条件として、それぞれの個人がそれなりに正しい答え(個人誤差が小さい)を持っており、なおかつ、全員の答えに多様性(分散が大きい)があることが必要となります。  

 

多様性とはここでは、分散、あるいは平方根である標準偏差のことです。  

 

標準偏差という概念は、意外と使われますね。  

 

8 人的資源管理(SWP戦略&「FFS(Five Factors and Stress) 理論」)

 

ここからは、2番目の人的資源管理について書いていきます。  

 

経営戦略の話は終わりです。  

 

「稼ぐ人財のつくり方」という本を参考にしてまとめます。  

 

戦略人事に欠かせないツールとして、「SWP戦略」があります。  

 

「SWP戦略」とは、

1  最初にビジネスの目標を達成するために必要な職種、社員数、経験、知識、スキルなどを明らかにします。

2  次に、組織の現状と将来のあるべき姿を比較して、両者の姿を明確にします。

3  最後に、その差を埋めるための採用、教育、研修、人事制度、報酬制度の検討をします。  

 

この一連の作業で扱う時間の範囲は、1年先くらいまでの短期計画から5年先程度までを見越した長期計画まで、会社の状況によって変わります。P21、22から引用。  

 

日本型の「人ありきの採用。適材適所」と、アメリカ型の「仕事ありきの採用。  

 

「適所適材」を融合させるやり方が重要です。  

 

日本では新卒一括採用で学歴採用のポテンシャル採用で、異動などで人を育て、終身雇用が基本で解雇しづらいです。  

 

対して、アメリカでは職種のポストが空かない限り、仕事がありませんし、スキル重視、即戦力重視で育てるつもりはありませんし、成果主義で解雇もしやすいです。(解雇がしやすいので、転職市場が整っており、職種は変えずにいろいろな会社を渡り歩くので、専門性が深まります)  

 

生産性は「仕事の量と難しさ」と、「仕事を処理する人財の量と質」の要素で決まります。  

 

人数確保かスキルが充実している人確保か、の視点です。  

 

一番、理想的なのは、スキル熟達者を必要な数だけ確保できたときです。  

 

これまでの日本ではスキル熟達者の不足を残業時間を多くすることや、人をもっと採用することで補ったきましたが、生産年齢人口が減少する今後の日本においては、「人数確保」と「スキル熟達者」の構成の視点を、もっと考えるべきだと思います。  

 

生産性向上のためには、生産性改善に影響がある点と、外部リソースの活用可能性の2点を考慮にいれなければなりません。  

 

1 生産性改善に影響大 外部リソースの活用可能性大 優先順位は2番目。

人事戦略コンサルティング、パーソナリティ診断、ヘッドハンティングなど。  

 

2 生産性改善に影響大 外部リソースの活用可能性小 優先順位は4番目。外注化が困難。

組織改正、人事評価、労働組合との話し合いなど。  

 

3 生産性改善に影響小 外部リソースの活用可能性大 優先順位は1番目。外注化が可能。

給与計算、旅費精算、健康診断など。  

 

4 生産性改善に影響小 外部リソースの活用可能性小 優先順位は3番目。

社内調整、会議運営、人事年次業務のサポートなど。  

 

優先順位2番目と3番目の意思決定が、戦略の分かれ目となります。  

外部に委託するかどうかの決め手は、「差別化」と「確実に外部に任せられるか」の2点です。  

 

となると、2番目の優先順位、3番目の優先順位となります。P54、55.  

 

戦略人事の究極の目標は生産性を高めることですが、その際、様々な数値をモニタリングする必要があります。  

 

代表的な数字が「従業員1人当たり売上高」です。

 

これは「何人の従業員で売上高を得たか」を表します。  

 

この指標は「売上高」/「従業員数」で算出されます。  

 

また、従業員に支払う人件費と売上高の比率(人件費/売上高)を計算すると、「売上高人件費率」になります。

 

この2つの数値は、必要なタイミングで把握しなければなりませんが、普段のマネジメントでは、部や課別の従業員数や人件費も把握しないといけません。  

 

従業員数や人件費を把握したら、実績が予算内で推移しているかを毎月確認しないといけません。  

 

例として、ある部署が予算以上に人件費を使っていたとしたら、予算が超過している理由は、残業が増えたのかもしれませんし、人員数が増えたのかもしれませんし、繁忙期で臨時で従業員を雇ったのかもしれません。  

 

P78からの戦略人事の7つの視点(時間、個人、仕事、コスト、目標、戦略、目的)は参考になります。  

 

チームとしての相互作用、相性にまで踏み込んだ人事制度が「FFS(Five Factors and Stress) 理論」です。  

 

「人間は変えられないが人間関係は変えられる」という考えが根本にあります。  

 

最適なチーム編成にすることで、埋もれていた成果を最大限に発揮できていない人まで実力を発揮させ、最適化するのです。  

 

「FFS理論」を使ったチーム編成にすれば、無作為に抽出されたチームの生産性の2倍に至らせることができます。  

 

10人の仕事を7人で回すことができれば、その人件費削減の分を給料アップに使えたり、新たな優秀な人材採用にも使えます。  

 

また余った人財を、新規事業に回すことも可能です。  

 

さらに、10人で15人分の仕事を達成できれば、売上が向上します。(コスト競争力も上がります)  

 

また、異動時期にありがちな生産性の低下も避けられます。  

 

人財の異動のマネジメントがしやすくなるので、人員の補充がスムーズになります。  

 

FFS理論は次の5つの因子から成り立ちます。

 

A 凝縮性因子。自らを固定・強化しようとする力の源泉となる因子。

B 受容性因子。自らの外部の状況を受け入れようとする力の源泉となる因子。

C 弁別性因子。自らの内部・外部を相反分別しようとする力の源泉となる因子。

D 拡散性因子。自らを拡張・発展させようとする力の源泉となる因子。

E 保全性因子。自らを保全・維持しようとする力の源泉となる因子。

 

これら5つのファクターの組み合わせがその人の個性になります。P171、172。  

 

Aの凝縮性因子が高い人は「自分の価値観上、正しいか、正しくないか」の判断軸があり、自分の価値観に合わない考え方はなかなか受け入れないです。

 

正義感や使命感の強さとも言えます。  

 

Bの受容性因子が高い人は「相手が喜ぶことに価値を見出す」人です。

 

共感力が高く、寛容的な人です。  

 

Cの弁別性因子が高い人は「物事を2つに分けて判断する」傾向にあります。その際の判断軸は都合が良いかどうかです。

 

合理的、分析的傾向があります。  

 

Dの拡散性因子が高い人は人を率先して動かし、自身が動くことで問題を解決する人です。

 

興味のあることには熱心ですが、無軌道なところがあります。  

 

Eの保全性因子が高い人は堅実的に目標を立て、工夫改善しながら仕組化する人です。

 

協調性があり、チームワークを大事にします。  

 

詳しくは本のP159以降を読んでください。  

 

ではこの辺で。(5288文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。  

 

参考・引用文献。  

 

「数学嫌いの人のためのすべてを可能にする数学脳のつくり方」

 

「稼ぐ人財のつくり方」

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