デジタル・ニューディール政策の是非 PART1

どうも、武信です。(No274)

 

デジタル・ニューディール政策の是非について述べていきます。

 

まず、以下の記事を貼ります。

 

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53007460V01C19A2MM8000/?n_cid=DSREA001

「経済対策、事業規模26兆円 政府が閣議決定」というタイトルです。

 

一部、引用します。

 

政府は5日、国や地方からの財政支出が13.2兆円となる経済対策を閣議決定した。

 

民間の支出も加えた事業規模は26兆円になる。東京五輪後まで見据えた成長分野への投資、自然災害対策を含むインフラ整備、景気の下振れリスクへの備えが3本の柱だ。

 

関連経費を2019年度補正予算と20年度当初予算に計上する。

 

政府が経済対策を打ち出すのは16年8月以来3年強ぶりだ。前回の財政支出は13.5兆円、事業規模は28.1兆円で、今回はいずれも前回に匹敵する。以上、ここまで。

 

また、次の記事も貼ります。

 

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6344887

「補正1兆円計上へ「デジタル・ニューディール」でAI・5G促進」というタイトルです。

 

一部、引用します。

 

政府は9日、近く閣議決定する令和元年度補正予算案に、人工知能(AI)や次世代通信規格「5G」の導入を進め、経済成長を目指す「デジタル・ニューディール」の関連予算として9550億円超を計上する方針を固めた。

 

目玉の一つが学校のICT化で、5年度までに小中学校のすべての児童・生徒が「1人1台」でパソコンやタブレット型端末を使える環境を整える。

 

高速大容量の有線・無線の構内情報通信網(LAN)の整備も進める。総事業費は今後4年間で4300億円を見込み、うち2318億円を補正予算案に計上する。 また、生産性向上に向けた中小・零細企業の取り組み支援のため、約3600億円を3年間で支出する。

 

そのうち3090億円を補正予算案に計上する。

 

革新的な製品やサービスの開発のための設備投資支援や、ITツール導入を支援する。

 

「ポスト5G」対策では、半導体や通信システムの開発、自動車や産業機械の高度化の促進などに1100億円程度を計上する。

 

主な「デジタル・ニューディール」関連予算。

1 学校のICT(情報通信技術)化の整備 2318億円。

2 中小企業のIT化などの支援 3090億円。

3 若手研究者に平均700万円程度、最大10年間の支援 500億円程度。

4 「ポスト5G」情報通信基盤強化 1100億円程度。

5 スーパーコンピューター「富岳」の開発 150億円程度。

6 量子研究拠点の整備など 125億点程度。以上、ここまで。

 

僕がこれらの政策について、どう思ったのか、まとめます。

 

 

1 本からの引用。

 

以下の本から引用します。

 

「MMT(現代貨幣理論)の教科書」という本です。

 

政府が発表したデジタル・ニューディール政策はMMTの理論の裏付けがあってやっているような印象を受けます。

 

金融政策はほぼ失敗?したわけですが、財政政策に力点を置いて、今回の政策をやろうとしていると思われるからです。

 

しかし、以前の消費税増税のときも同じ規模の対策をやっていました。

 

今回も、消費税増税の景気落ち込みを防ぐぐらいの規模なのだとしたら、そこまで問題じゃないかもしれませんが、一応、MMT理論を絡ませながら、書いていきます。

 

今回の規模以上の財政政策をやり続けると、MMTと同じになり、危険かもしれないので、念のため、記事化します。

ついでに、政策の中身についての是非も書いていきます。

 

では早速、以下、この本に書かれている「日銀の過去の金融政策の失敗談」を引用します。

 

2016年9月、日銀はマイナス金利政策への不安や批判を受けて『「量的・質的金融緩和」導入以降の経済・ 物価動向と政策効果についての総括的な検証』(総括的検証)を公表しました。

 

従来、日銀の政策決定は合理的な期待の形成を前提にしていました。

 

つまり、今後、金利が低下すると考えられる場合、人々は借り入れを増やし、消費や投資を増やすと考えたのです。

 

しかし、総括的検証の中で日銀は、わが国の国民が過去の経験をもとにして、「これまで成長を実感できなかったから、今後も所得は上がりづらい状況が続く」と考え、必ずしも将来への期待をもとに合理的な意思決定をしていないとの見解を示しました。

 

つまり、どれだけ金融を緩和したとしても、それが需要を喚起するとは限らないことを日銀は認めたのです。

 

これは、異次元金融緩和の限界を日銀が認めたということです。

 

アベノミクスのもとで日銀は、二つのことを重視します。

 

それは、物価が上昇すれば景気は良くなるという考え方と、いつでもどこでもインフレは貨幣的な現象だという主張です。

 

要は、お金をより積極的に経済に供給すれば、物価はあがり、人々の気持ちも上向いて、景気が良くなる(デフレ経済から脱却できる)という考えです。

 

これを実現するために、政府と日銀は、中央銀行の総裁自ら2%の物価目標を達成するために責任を持って取り組むとの強い姿勢を表明すれば、国民はそれを信じると考えたのです。

 

政府も日銀も、中央銀行が物価の上昇に従来以上の強い姿勢で取り組めば、人々の期待は操作できると考えたのです。

 

しかし、わが国の国民多くが、インフレがどのような状況かを知りません。

 

むしろ、物価は上昇せず、下落するものだという見方を持つ人のほうが多いでしょう。

 

事実、1997年以降、長い間、わたしたちは物価が持続的に下落する環境に慣れています。

 

多くの人が、「最近は物価が上昇していない。それが普通だし、今後も同じような状況が続く」という経済への見方を持ってきたはずです。

 

過去の経験や履歴・経緯に基づいて今後を考えることを、適合的な期待形成と言います。

 

人々が過去の状況が将来も続くと考え「物価はそう簡単には上昇しない」と考えてきたため、日銀が人々の期待をコントロールしようとしても思うようにはいきませんでした。

 

総括的検証の最大のポイントは、日銀が期待を操作することをあきらめたということです。

 

実はこの問題は、2012年までの日銀の関係者が重視していた考え方でした。その考え方とは次のように言い表すことができます。

 

まず、日銀は、人々が過去の経験を引きずって将来を予想している中で、過度な金融緩和を進めたとしても効果は上がりづらいだろうと考えます。

 

そうであるとすれば、過度な金融緩和策を進めて後戻りできなくなるリスクを冒すべきではありません。

 

むしろ、中央銀行は、市場の期待に配慮しつつ緩和的な金融環境を維持し、 構造改革の進捗をサポートする役割に徹すべきです。

 

そのほうが、後々の政策の柔軟性と持続性が確保しやす くなります。

 

バブル崩壊後、わが国の経済が低迷する中、米国の経済学者や国内の金融緩和に積極的な識者らからは、日銀が物価上昇に強くコミットすれば、人々がそれを信じるから日銀もそうすべきだとの主張が強まりました。

 

こうした論戦は、MMTをめぐる支持派と反対派の主張に似ています。

 

中央銀行が利上げを行う際、理論上の上限はありません。物価の上昇圧力が高まっている場合に利上げを続けると、徐々に人々は金融の引き締めによって物価は安定するということに慣れます。

 

一方、利下げにはゼロ金利という制約があります。

 

政策金利はゼロ%以下にはできません。

 

もし、金利をゼロ以下にすると経済への悪影響などが生じる恐れがあります。

 

物価が下落する中で政策金利がゼロ%に到達すると、金融政策は事実上の限界を迎えます。

 

そのタイミングで人々の心理が上向いていればよいのですが、実際にはそうなりませんでした。

 

ゼロ%以上に金利を引き下げ、さらに金融緩和を行うと、様々な問題が生じます。

 

例えば、本来であれば金融機関からお金を借りることのできないほど財務內容が悪い企業(ゾンビ企業)が融資を受けて事業を継続することが考えられます。

 

これは、本来であれば淘汰されるべき財務内容の企業です。そうした企業にお金が貸し出される」ということは、非効率的な資源の配分が行われているということです。

 

MMTは政府がお金を使えば望ましい経済環境が達成できると主張していますが、その効果は日本の金融政策がすでに実証しています。

 

過度に緩和的な政策は、経済をゆがめる恐れがあります。

 

総括的検証の中で日銀は、マイナス金利によって 貸出金利が預金金利を上回るペースで低下し、銀金融機関の収益が小さくなっていることを認めました。

 

その上で日銀は長期の金利が大幅に低下し、長短金利差が急速に縮小したことについて、『広い意味での金融機能の持続性に対する不安感をもたらし、マインド面などを通じて経済活動に悪影響を及ぼす可能性がある」と、異次元金融緩和のマイナス面(弊害)をも認めたのです。

 

総括的検証は、2013年4月から2016年9月までに行ってきた異次元の金融緩和という壮大な経済実験の意義と教訓をまとめた報告書です。

 

その結論は、中央銀行が人々の期待を思うように操作することはできなかったということです。

 

この結論を基に、日銀は「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入し、短期と長期の金利差(イールドカーブ)をコントロールする政策を導入しました。

 

長短の金利を一定に保つことによって国債の買い入れを減らしつつ金利を低位に推移させることで、日銀は短期決戦型の政策をあきらめ、政策の持続性を確保したのです。

 

異次元の金融緩和が際限なき拡大路線に向かうことを止めたという点で、総括的検証の意義はとても大きかったのです。以上、ここまで。P72〜75。

 

Amazonではこの本に星1つがつけられまくれ、酷評の嵐ですが、僕はそのような印象は受けませんでした。

 

政府関係者がMMT理論をある程度、信奉し、財政政策をとろうとしたからでしょうか。

 

マイナス金利も異次元の金融緩和もほぼ効果がなかったのに、政府は、今度は怪しい?MMT理論を土台に、大規模な財政政策を行う予定のようですね。

 

それでは、MMT理論の詳しい説明はこの本などに譲りますが、このような大規模な財政政策を行うと、どんな末路になるのか、をこの本を参考にして、もう少し述べたいと思います。

 

PART2に続きます。

 

ではこの辺で。(4469文字)

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

 

参考・引用文献。

 

「MMT(現代貨幣理論)の教科書」

最新情報をチェックしよう!