2020年教育改革の結論「2019年12月17日時点での教育改革の結論」PART1 

どうも、武信です。(No272)  

 

2020年の教育改革(主に、大学入試)について、いろいろと議論や騒動が起きていました。  

 

そして、ようやく、2019年12月17日に一応の決着がついたようです。  

 

今回はその決着の様子について書きます。  

 

興味がある人は続きをお読みください。  

 

 

1 記事からの引用。

 

以下の記事を貼ります。  

 

https://news.yahoo.co.jp/pickup/6345572

「記述式は実施自体が無理 識者」というタイトルです。  

 

一部、引用します。  

 

大学入学共通テストでの記述式問題の導入見送りを受け、有識者からは17日、共通テストでの実施自体に無理があり、個別の大学が論理的思考力などを測定する体制の充実を求める声が上がった。  

 

私立麻布高校で国語教師を務めた紅野謙介日本大教授は「導入は中止すべきだ。50万人規模の採点で正確さ、公平性を維持することはできない」と指摘。  

 

「採点しやすさを優先するあまり、能力測定に効果のない記述式問題が導入され、受験生がトレーニングすることになれば、総体として国語の能力低下を招く」と懸念する。  

 

紅野氏は「2次試験で記述式を課していない大学があれば、積極的に課すか入学前教育などの充実でカバーするよう(文部科学省が)指導すればいい」と話した。  

 

略。  

 

「国公立はほぼ全ての大学が2次試験で記述式を課しており、私大の入試改善が必要だ」と指摘し、日本私立大学連盟などが自主的に導入を進めるよう求めた。 以上、ここまで。  

 

要約すると、共通テストで記述式は無理であり、さらにコスパが悪く、2次試験で個別に課せばよく、今後は私大へ広げていくということでしょう。  

 

2 記事からの引用2。

 

以下の記事を貼ります。  

 

https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191216-00000016-pseven-soci

「大学入試のマークシート偏重に識者「将来の失業者量産」危惧」というタイトルです。  

 

一部、引用します。  

 

この大学入試改革を構想し、陣頭指揮を執ってきたのが東京大と慶應大SFC(湘南藤沢キャンパス)の教授を務める鈴木寛氏である。  

 

鈴木氏は民主党政権下で文科副大臣、その後の自民党政権下で文科省参与、大臣補佐官を歴任した。その鈴木氏が、共通テストへの「記述式」導入批判に応える。  

 

─2021年から実施する共通テストに、記述式問題を導入しようとした理由からお伺いしたい。  

 

鈴木氏:少し長い前置きを述べます。今の子供たちの多くは2100年まで生きるでしょう。  

 

AIが人間の知能を超えて社会に大変革がもたらされる「シンギュラリティ」が2040年頃にやって来るとされているので、彼らは人生の3分の2をシンギュラリティ後の時代に生きることになります。  

 

略。  

 

マークシート試験というのは、「人から与えられた選択肢の中から、一つ一つ重箱の隅をつつくように間違いを探して、消去法で正解を選ぶ」という試験です。  

 

だから、マークシート試験の訓練をしていると、ミスや欠陥を見つけるのが速くなる。  

 

解答が1段ズレたら0点になるから正確さも求められる。  

 

これまでの工業社会では、マークシートで測れるような能力が必要とされていました。  

 

工場の生産ラインでは機械が製造をしても、製品の欠陥を見つけるのは人間の仕事だったのです。  

 

今まではそういった仕事が他にもたくさんありましたが、シンギュラリティの時代にはAIに取って代わられるのです。  

 

だから、新しい学習指導要領や大学入試改革は、AIを使いこなし、AIにはできない、人間にしかできない能力をいかに身につけさせるかを主眼に置いています。  

 

また、学習指導要領でも「言語活動の充実」を掲げ、「書くこと」「読むこと」を重視してきました。

 

  にもかかわらず、“入試に関係ない”多くの高校の現場では記述・論述に力が入れられてきませんでした。  

 

もちろん、東大や京大、一橋大など国立のトップ校の二次試験や、私立でも慶應大の入試では以前から記述式を導入しています。  

 

こうした大学を狙う受験生は“入試に関係ある”ので、思考力や判断力、表現力などを伸ばす勉強を熱心にしてきました。  

 

しかし、これまで国立大の約半分と慶應大以外の私大はマークシート試験のみだったのです。  

 

そこで、記述式導入について大学入試改革では3本の柱を立てました。  

 

1本目は、国立大はすべて二次試験を記述式にする。  

 

これで国立大学はこれまで4割だった記述式試験の割合が9割にまで上がった。  

 

2本目は、私学の雄である早稲田大学が記述式に変える。  

 

そういう改革を強くお願いし、早稲田は自発的な判断で、記述式導入に留まらず、文系でも数学を必須にし、英語も4技能(読む、書く、聞く、話す)を問う試験に変えるなど、入試の大改革をしました。  

 

予備校の私大受験指導は早慶受験が基準になるので、早稲田も記述式になると予備校の指導はガラリと変わります。  

最後の3本目が、共通テストでの記述式導入です。  

 

この3本柱の内、国立大と早稲田大学の2つについてはほぼ達成できました。  

 

都市圏では早慶、地方では国立大の影響が大きいので、そうした大学に生徒を送り出す高校の学びは大きく変わるでしょう。  

 

しかし、問題はやはり早慶以外の私大です。  

 

早慶は独自に記述式試験を実施する体制も能力もありますが、他は難しい。  

 

このままだと他の私大を受ける受験生は、相変わらずマークシート向けの受験勉強をすることになる。  

 

だから、3本目の柱として、私大も利用する共通テストに記述式を導入しようとしたのです。  

 

◆マークシートを続けてきた弊害  

 

「記述式試験はトップ校だけに導入すればよく、下位の大学までは必要ないんじゃないか」という意見もある。  

 

鈴木氏:私もそう思っていた時期がありましたが、文部科学省の若手から怒られました。  

 

「それは“選民思想”です」と。  

 

トップ校の生徒だけAI時代に生き残ればいいというなら、そもそも教育改革などやる必要がない、と。  

 

広く多くの若者をAI時代に生き残れるようにしなければと熱く語られて、私も全くそうだと思い、改心しました。

 

大学への進学率は現在5割ですが、2割がトップとして、トップ校だけでいいとなればAI時代は8割が失業することになる。  

 

しかし、共通テストに記述式を導入すれば、高校の校長たちが強くその重要性を意識し、大学受験生が学ぶすべての高校の教育が変わり、進学せずに高卒で就職する人たちも含めて恩恵を受けられる。  

 

すべてとは言いませんが、全体の8割くらいに影響が及ぶはずです。  

 

──理念としては理解できるが、現実問題として、共通テストへの記述式導入については、「採点のブレが大きい」「バイトでは採点ができない」「自己採点ができないから出願に困る」といった批判が噴出した。  

 

鈴木氏:採点のブレについては、誰がつけるかではなくて、ブレがどの程度に収まるかが大事だと思います。  

 

確かにマークシートは100%ブレがなく、記述式ではブレが起きます。  

 

現在の国立大の二次試験の入試だって、当然ブレは出ます。  

 

共通テストの場合では、1つの答案に対し、採点者3人で採点し、上司がチェックするというのを4層重ねて採点をすることで、ブレを小さくすることになっていました。  

 

担当者に聞いてみると、本番の一回目では、1万分の1から1万分の4くらいのブレになるとのことでした。  

 

一般に5教科受けて満点は500点として、国語100点分の内、記述式の配点は20点です。  

 

つまり、影響は25分の1です。全体への影響としては25万分の1から25万分の4程度。このブレを許容できないのなら、そもそも記述式はできません。

 

  ──共通テストではある程度決まった回答しか書けないような問題を設定しているから、ブレが小さいのではないのか。  

 

鈴木氏:「ブレる、ブレる」と言われるから、最初はブレない問題にしているのです。

 

ブレない問題にすると、今度は、「記述式の意味がない」と言われるんですが、どうすればいいんでしょうか(笑)。

 

  意味がないことはない。高校生は記述式試験のための勉強を始め、教員もそういう指導をする。その第一歩を踏み出すことに意味がある。  

 

フランスの大学入試「バカロレア」は記述式オンリーで、大問が3つあって、4時間、書いて書いて書きまくる試験です。

 

採点は、高校教師が行っています。  

 

当然、採点にブレが起きるだろうと思い、フランスの国民教育省に行って、何度も聞いたんですが、彼らは「採点基準があるから大丈夫だ」としか答えない。  

 

しかもバカロレアでは、1つの答案を採点者一人で採点するんだそうです。  

 

日本人の感覚だとあり得ない。  

 

だから、ブレブレじゃないかと思って何度も聞いたんですが、そのうちに「お前は何が聞きたいんだ」と怒り出し、「人間が書いたものを人間が採点するんだから、バラつきが出るのは当たり前だ」  

 

「そんなことより、小論文の家庭教師をつけられる家庭の子とつけられない家庭の子ではもっと大きな点差がつくが、そっちのほうが問題じゃないのか」と叱られました。  

 

おっしゃる通りですと(笑)。  

 

──他にも「バイトが採点する」ということも問題視されたが。  

 

鈴木氏:バイト、バイトと言いますが、別にバイトだけで採点するわけではありません。  

 

採点者のなかにバイトも入るということです。4層の採点プロセスの中には採点者のプロが多数います。  

 

このバイト問題も、全高長(全国高等学校長協会)が12月末の共通テスト実施に賛成していれば、あるいは高校教師が採点に協力してくれれば、バイトを使わずとも、できたのですが、全高長がどちらも拒んだために必要な採点者が増えて、バイトも活用することになったのです。以上、ここまで。  

 

3 僕の考察。

 

AI時代に生き残れる能力を身に着けさせるために、記述式を導入しようという理念があるようです。  

 

また、記述式導入について大学入試改革では3本の柱がありました。  

 

1 国立大はすべて二次試験を記述式にする。(これは4割から9割に上がり、成果があった)  

 

2 私学の雄である早稲田大学が記述式に変える。(これも達成済みであり、しかも英語の4技能や数学必須にしたなど、大改革をしました。私学の早慶は影響力があるので、重要要素です)  

 

3 共通テストでの記述式導入。これは頓挫。理念として、共通テストを利用する私大まで記述式を広げたかった。AI時代にはトップ層だけじゃなく、8割の層まで生き残れる力をつけたかったようです。  

 

「記述式はトップ校だけ導入すればよく、下位校には必要ない」と鈴木氏は思っていたそうですが、文部科学省の若手から「それは選民思想だ」と怒られて、思想を変えたそうです。  

 

これが結局は、仇になりましたね。  

 

僕は偏差値60以上の16%、センター試験でいえば50万人中8万人程度だけに、論文プラットフォームを使わせればいいという発想でした。  

 

「採点が大変すぎるので、8万人が限度だ」と最初から思っていたからです。  

 

しかも、論文プラットフォームという自動式みたいな手法を採っても、8万人が限度だと思っていたのに、一発勝負の記述式で、自動式じゃなく、採点者がちゃんと採点する方式で50万人に導入しようというのですから、「よくこんな構想を考えたなぁ」と呆れます。  

 

文部科学省の若手の意見はやはり甘すぎでした。  

 

理念としては、「50万人全てに記述式導入はあり」だと思いますが、制度として明らかに限界があると事前にも分かったはずでしょう。  

 

採点がブレるのは当たり前というフランス式の発想も、日本では通用しませんでしたね。  

 

まぁ、記述式導入の第2段階まで到達したのですから、改革はやった意味があったのではないでしょうか。  

 

PART2に続きます。  

 

ではこの辺で。(5039文字)  

 

このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。

あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。

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