どうも、武信です。(No762)
フィクサーによる日本の教育改革本を2014年頃(正確には2013年に着手)から書き始めて、5年くらいかけてある程度完成させました。(2018年頃にはほぼ骨格は完成)
教育改革の議論の叩き台としての役目は果たせたと思っています。
ですが、所詮、1人の人間による知識・思考力には限界があり、今回、第二版を書くことにしました。
いろいろと修正点が出てきたからです。
教育改革は国家100年の計であり、日本が今後、繁栄していく基盤となるものです。
ですが実は、この本は教育改革も扱いますが、マクロ経済やミクロの大企業の活動なども扱い、日本の国力全般を底上げすることを目指して書かれており、教育改革だけに特化した本ではありません。
前作を書き終えたことで、もっと分かりやすく、コンパクトに今回の第2版では書けるかなと思って執筆する次第です。
初回から約6000文字の長文記事です。
1 方向性。
企画・事業計画・国家戦略は方向性が大事です。
方向性がそこまでずれていなければ、つまり、戦略が当たっていれば、細部の現場の戦術・実行力でカバーできると言えます。
逆に、方向性・戦略が的外れだと、細部の現場の戦術・実行力では補うことができません。
日本の太平洋戦争の敗北と同じルートをたどることになります。(勝てない戦や戦略が間違っていたので、現場のかなりの頑張りでも、挽回は無理だったのです)
そして、この方向性を決めるというのは、センスがある人がやるべきなのです。
センスという言葉は曖昧ですが、「実際に存在する」と僕は思っています。
センスの良い人が企画や戦略を練って、大まかな方向性を示したら、あとは細部の現場での実行力や戦術を煮詰めていけばいいのです。
ですが、何事も計画や事業が完遂するまでには現場での実行がきちんとなされるまでを含みます。
現場での細部の実行が上手くいかないのであれば、その戦略は「絵に描いた餅」であり、実現可能性が低いということになります。
まぁ、事業の場合、プロダクト(成果物)を作り、売れそうか?などを見極めて、試行錯誤する道が多い、つまり実験がある程度可能ですが、教育改革の場合、細かい実験が難しいかもしれません。
僕としては一気に教育改革を推し進めるのではなく、少しずつ実験をして、上手くいったら導入するという視点が大事だと思うのですが、国の都合上、難しいみたいですね。
事業でも国家戦略でも、いきなり全店導入とか、全国に導入より、一部店舗で実験とか、特区で実験などしてから、上手くいったプロセスを検証してから、全国展開したほうが上手くいく可能性が高いのです。
日本では失敗するとすぐに落伍者の烙印を押されるので、実験思考や試行錯誤がしづらい国です。
何がうまくいくか?完全に予測できたら苦労はしません。
だからこそ、失敗への許容力という視点は非常に大事だと僕は思います。
では以下、僕が教育改革、国家改革について考えた仮説(方向性)について述べていきたいと思います。
2 世の中をMECEする&G型とL型&マクロ経済とミクロ経済。
まず、世の中をMECE(分類分けのこと)しましょう。
僕の分け方ですが、民間・公務員・NPO・その他(フリーランスなど)に分けられます。
で、以下の記事で職業分類のシェアを書いています。詳しくは省略します。
https://hontonomedia.com/bookreviewreview/2457/
「書評・レビュー「職業の経済学」」というタイトルです。
「公務員・NPO・その他」の比率は、民間と比べたら圧倒的に少なく、公とNPOのざっくり合計で約13%にしか過ぎないので、民間で活動している人材が日本には多いことが読み取れます。
この視点から、「公務員・NPO・その他」の比率が少ないので、後回しにして教育改革を練ることにします。
しかし、将来、「フリーエージェントの時代」という本があるように、フリーランスが増加するかもしれませんが、民間と似ているので民間で活動する人材像を考えればOKでしょう。
以下の記事ではフリーランスは341万人で、就業者の5%だと書いてあります。(法人を設立した人も含む)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO47729060U9A720C1EE8000/ 「フリーランス300万人超 内閣府初推計 就業者の5%」というタイトルです。
また、341万人のうち、本業がフリーランスの労働者は228万人で、副業が112万人と推計されており、就業者全体における本業のフリーランスの人の割合は3%程度で、米国の6.9%に比べると半分以下にとどまる、と書かれています。
フリーランスは少数派ですね。
さて、以上のような分類の他に、世の中を「G型とL型」に分ける視点もあります。
冨山和彦氏の提言で有名です。
「なぜローカル経済から日本は甦るのか」の著書で有名です。
G型は製造業やIT企業を中心とした大企業です。
競争相手は世界であり、スポーツに例えれば、オリンピックです。
日本国内に拠点を置くことに比較優位がないと、海外に打って出る企業が多くなります。
L型は小売りや卸売り・交通・物流・福祉・保育・介護・医療といった、地域密着型の労働集約的なサービス業です。
スポーツに例えるなら、地方大会です。
生身の顧客に対面してサービスするので、海外に脱出する企業はないでしょう。
G型とL型では、求められるスキルがまったく異なります。
詳しくは、冨山和彦氏の本を読むといいでしょう。
また、マクロ経済とミクロ経済という分け方もあります。
ほとんどの株価(個別株価でも)は、マクロ経済全体の動きの影響を受ける割合が7〜8割あります。
好景気ならミクロ(個々の企業)の業績(株価含む)が比較的、良いというわけです。
逆に言うと、不景気ならばミクロ(個々の企業)の業績(株価含む)は総じて悪くなります。
マクロ経済全体を良くすることがミクロに影響するので、マクロ経済学は重要なのですね。
そして、マクロ経済政策は実はかなり重要であり、ミクロの個々の企業にかなり影響を与えます。
マクロ経済政策についてはデフレこそが、日本が低迷した主要因だと「目からウロコが落ちる奇跡の経済教室 基礎知識編」の中野剛志氏はいいます。
デフレだと貯蓄マインドになり、皆が貯蓄して、消費しなくなり、これは個々の行動としては合理的ですが、国民の多くがそれをやると消費が減るので不景気になります。
不景気の雰囲気では個々の企業は当然、設備投資などしませんから、イノベーションも生まれづらくなります。
ですが、個々でさらに重要なことが言われています。
個々の企業が生産性をあげるのは合理的であり、生き残りには必須ですが、大半の企業がそれをやると、退散させられた企業では失業者が生まれ、その失業者は消費しませんし、筋肉質だらけの企業の増加によって供給過剰になります。
だからこそ、まずはデフレを脱却し、需要増加になってから、その需要増加のニーズ(消費)に合わせて企業が生産性を上げて応えればいいという話になります。
でも、僕は疑問に思うのです。
グローバル化の世界では、特にG型の企業は世界的な競争の中におり、デフレ時代だからといって生産性を抑制していたら、世界から取り残されるという点です。
少なくとも、G型の企業には「生産性を抑制せよ!」と言っても無理でしょう。
著者はビジネスの感覚で、経済を見たら失敗するといいますが、世界で戦っているG型という視点を忘れてはいないでしょうか?
マクロ経済政策は重大事であり、政府の役目であり、「個々の企業に責任はない」と著者は主張しています。
そういう面もあるでしょうし、デフレ対策も考える必要がもちろんあるでしょう。
経済政策については、本を紹介して終わりとします。
主に政治家の仕事ですし、民間人にできることは限られているからです。
ただし、経済動向を注視しながら、経営者が経営するのは常識ですので、勉強はしておくべきです。
3 日本国だけの内需だと限界ある説。(財政問題や高齢化問題のよる消費低迷説)
今後、日本の人口構成はかなり歪(いびつ)になります。
超高齢化社会がやってくるのです。
高齢者の比率がかなり多くなるということは、「購買意欲が減る人が増える、つまり消費が低迷する」ということです。
旺盛に消費をするのは主に若者ですが、その絶対数が減少します。
ということは、今までは日本は内需でそこそこGDPを維持できましたが、今後は韓国型の内需だけでは限界なので、輸出強化の国に走る可能性が高いということになります。(移民を大量に受け入れたら、別かもしれません)
日本の輸出依存度は約14%と低く、内需の国ですが、韓国型に切り替わる可能性が出てきます。
デフレがここまで長期化しているのは、超高齢化社会と財政問題が影響している気が僕はします。
今、金を大量に持っているのは高齢者ですが、その高齢者は将来への不安と元々の高齢者特有の消費の少なさから、金を使おうとしません。
以下の記事にも書いています。
2020年教育改革への僕の本・高齢化問題6「2019年7月7日の朝日新聞と週刊ポスト7月19・26日号の引用・まとめ」というタイトルです。
2020年教育改革への僕の本・高齢化問題6「2019年7月7日の朝日新聞と週刊ポスト7月19・26日号の引用・まとめ」
以下、引用します。
1 夫婦の生活費は「5歳ごとに月2万円」減っていく。
30年間の間に、60代、70代、80代となるにつれて、生活費は安くなっていきます。具体的には「80~84歳世帯」では約20万5400円と、60代前半より1ヶ月あたり10万円も安くなります。以上、ここまで。
高齢になればなるほど、消費しなくなっていくのです。
以下の記事にも載っています。「夏休みの消費額、過去最低に 老後備え貯蓄意識高まる」というタイトルです。
https://www.sankei.com/economy/news/190719/ecn1907190017-n1.html
以下、全文、引用します。
明治安田生命保険は19日、夏休みに使うお金に関するアンケートの調査結果を発表した。
今年の平均消費額は昨年から1万5743円減少の6万8071円で、アンケートを始めた2006年以降で過去最低だった。
明治安田生命のチーフエコノミストは「老後資金の問題が話題になり、中長期の貯蓄意識が高まっている」と分析した。
減らす理由は「今後の出費予定に備えるため」が34.6%で最も多く、「預貯金に回すため」が31.4%、「消費税増税が控えているため」が29.6%で続いた。
「預貯金に回す」と回答した割合は20代男性が47.4%、20代女性が42.3%に達した。以上、ここまで。
高齢化問題が若者にまで波及していることが窺えます。
さらに以下の記事を貼ります。
「「年金・医療・介護」強まる不安と格差拡大」というタイトルです。(消されたようです)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190719-00000015-mai-pol
以下、一部、引用します。
40代独身男という「何とかしてくれ」さんは、「年金もだが、将来まともな介護や医療が受けられるかという不安は強い。
頼れる家族もいないので、今からしっかり貯蓄するしか、すべがない。老後が安心できるなら消費に回すというのは、実感する」と訴えます。
多くの方が同感するのではないでしょうか。以上、ここまで。
高齢化問題は「高齢者が多いこと自体の問題点」(高齢者が貯蓄し、消費量も減る)と、「高齢化への不安(年金、介護、医療など)が若者や中年にまで波及しているという点」があります。
これに日本独自の財政問題(世間で不安視されている)が加わっており、将来への不安は相当なものかもしれません。
そして、旺盛に消費する若者には金が回っていません。(非正規雇用の増加と賃金が低下しているのです)
これでは「デフレになるのも仕方ない」と思えてきます。
まず財政問題や老後の不安という2点をある程度、解決する目安を示すべきでしょう。
この話題については、解決策を考え中であり、別途、述べます。
人口減少(生産年齢人口)とデフレとの関係は調べられていますが、超高齢化社会とデフレとの関係の研究はあるのでしょうか?(高齢社会との関係の論文はあるようで、通説とは逆でインフレ要因になるそうです)
高齢化率(65歳以上)で見ると、日本は2015年で26.7%と4人に1人は高齢者の超高齢社会で世界一位。
2位はイタリアの22.4%で、3位はドイツの21.2%、4位はスウェーデンの19.9%です。
イタリアはデフレになっているのでしょうかね。。。
イタリアはラテン系の民族であり、その日暮らしのイメージが強く、消費しそうというイメージですから、デフレとは無関係なのかな。。。
スウェーデンは北欧であり、福祉国家で大きな政府ですから、老後の不安がない点が日本などとは違います。
やはり老後の極端な不安は、消費を減らす方に左右しそうな気がしていて、特に日本は世界一の高齢化率であり、研究データがなさそうですね。
実際、高齢者の金融資産はかなり多く、溜め込んでおり、消費もしていません。
まぁ買いたいモノもないのかもしれません。
この高齢化率は今後、どんどん高まっていき、デフレ脱却の日が日本で果たして来るのか?注目したいところです。
高齢者は若者が使うようなサービスやモノも消費しないと思われるので、イノベーションも起こりづらい国でしょうね。
高齢化率で見る視点と、年齢の中央値(並べて真ん中にくる数値)で見る視点があります。
以下、ひろゆき氏の著書「自分は自分、バカはバカ。」からの引用・まとめです。
2017年の世界の年齢の中央値は30.4歳(男性29.6歳、女性31.1歳)であり、日本は先進国の中で堂々1位の47.3歳(男性46.0歳、女性48.7歳)です。(ちなみに1位はモナコ公国の53.1歳ですが、この国は総人口約3万6000人の都市国家なので比較できません)
2位はドイツの47.1歳、3位はイタリアの45.5歳、4位はギリシアの44.5歳です。
フランスの年齢の中央値は41.4歳(男性39.6歳、女性43.1歳)であり、世界ランクでは40位で、若年層が他の国と比べると多いので勢いがあるのでしょう。(EU全体の年齢の中央値は42.9歳)
アメリカの中央値は38.1歳であり、もっと若いです。以上、ここまで。
高齢化率でも年齢の中央値でも、日本、ドイツ、イタリアの旧同盟国は上位トップ3ですね。(何の縁なのでしょうか)
今後、この3カ国がデフレ低迷という事態になるかどうかですね。
では、次に消費が低迷している理由を別の側面から見ていきましょう。
時代背景編です。
4 時代背景からの現状把握
ここから時代背景の現状把握をします。
a 1980年代までと1990年代以降の時代。 (欲しいモノが少なくなったから、消費が低迷した説)
「だいたい、良くない時代」
課題が多く、市場は未熟でした。丈夫なモノを安く大量に供給できれば良い時代でした。
例。日本の夏は暑かったですが「エアコン」を出せば飛ぶように売れました。
1990年代以降。
「だいたい、良いんじゃないですか?時代」
わかりやすいニーズが消え、市場は成熟化しました。
イノベーティブなモノじゃないと皆、欲しがらなくなりました。
例。携帯電話をいくら改善しても売れません。2007年にアップルからiphoneが出て皆、それを買うようになりました。日本の携帯はガラパゴス化して「ガラケー」と呼ばれるようになりました。
そんな1990年代以降の「だいたい、良いんじゃないですか?時代」を生き抜くためには「インサイト」(人を動かす隠れた心理)を見抜くことが必要になりました。
以下の本「「欲しい」の本質 人を動かす隠れた心理「インサイト」の見つけ方」に詳しく載っています。
つまり「欲しいモノが少なくなったから、消費が低迷した説」です。
PART2に続きます。
ではこの辺で。(6977文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。