どうも、武信です。(No324)
「フィクサーによる日本教育改革本」も教育の全体図・俯瞰図でしたが、経営学でも俯瞰図を作ろうという野心で作ったのが本書です。
「フィクサーによる日本の教育改革本」も教育業界に影響を与えていると思われますが、この俯瞰経営学も多少は影響を与えているかもしれません。
作り始めたのは3年くらい前ですし、まだ未完成ですが、出版社らにパクられまくり、新規性がなくなったので、無料で公開します。
「俯瞰経営学2」のPART3です。
本編はここからです。
前置き編が終わって、ようやく本編に入ります。
ここからが僕の経営学の俯瞰全体地図です。
4 経営戦略(外部環境分析 CAGE&AAA&メガトレンドなど)
さて、まだ経営戦略の話の続きをします。
グローバルにビジネスを展開する際に参考になるフレームワークとして、「CAGE」があります。
ブローバルビジネスの障壁となる要因を、「4つの距離」にまとめています。
文化的距離、制度的距離、地理的距離、経済的距離の4つです。
以下、「入社10年分の思考スキルが3時間で学べる」からの引用です。
文化的距離を生み出すのは言語、倫理観、宗教、社会的な慣習など。
文化の違いによって消費者の行動は異なる。
食品や化粧品など宗教の違いを加味して使う材料を変えることはあるし、洗濯や化粧の頻度に合わせて製品を小分けにパッケージすることもあるだろう。
また、歴史的関係や特定の外国に対する敵意の有無など、文化的距離は多岐にわたる。
制度的距離は法や政治、社会インフラなど「社会の土台」の違いだ。
政治や金融市場の安定性はその国でビジネスをする際に特に重要な課題になる。
度重なる政情変化があり、法律や社会インフラが安定しない地域で事業展開するのは困難だ。
地理的距離とは文字通りどれぐらい離れているかという点に加え、気候の違い、海へのアクセス方法、国の面積などだ。
例えば製造業の場合、製品の保管や物流など、事業構造に影響を与える要素が多く含まれる。 経済的距離は消費者の収入レベル、天然資源、金融インフラ、人口ピラミッド構成、人材の教育水準、ITリテラシーなどが含まれる。
その国が持つ需要の大きさ、人件費を含めたコスト構造など、収益面に影響を与える内容が多い。以上、ここまで。P72~74。
この4つの距離の制約条件やハードルを超えて、ビジネスチャンスに変えることが求められます。
ビジネスチャンスに変えるフレームワークに「AAA」があります。
以下、同じ本から、再度、引用します。
3つのAとは、アービトレーション、アダプテーション、アグリゲーションのこと。
簡単に解説すると、「違いの中から宝を掘り当てるアービトレーション」、「違いを調整するアダプテーション」、「違いを乗り越えるアグリゲーション」だ。
「アービトレーション」の機会を生み出すのは経済的距離である天然資源、人口ピラミッド、給与水準などの格差。文化的距離や、制度的距離である税制、法律などの違いもアービトレーションの芽となる可能性を秘めている。
そこに歪みがあれば儲けの機会がある。人件費の違いを利用し、中国が世界の工場になったのは誰もが知っている通り。
その重心は東南アジアやバングラデシュなどに移ってきている。
コールセンターをインドで運営したり、タックスヘイブンに法人を設立したりとアービトレーションの事例は挙げ始めるとキリがない。
それぐらい「世界は歪んでいる」ということだ。ブ
ランド力を利用して儲けるのもアービトレーションの一例。
日本製であること自体、十分な訴求力がある。
海外市場でプレミアムを乗せた価格で売れるのは文化的距離や経済的距離を活用したアービトレーションの事例になる。
高値で売れる欧州のブランド品も文化的な距離を利用したアービトレーションだ。
しかし、アービトレーションは魔法の杖ではない。
歪みから商売の機会を見つけるツールに過ぎないことを忘れないように。
次に、「アダプテーション」の機会を考えてみよう。
要は、現地に合わせてビジネスチャンスを見つけるということだ。
日本国内に定着した外国ブランドを見渡しても、事例は山のように存在している。
抹茶フレーバーで成功したスターバックス、もはや米国発の痕跡を見つけるのも困難なセブンイレブンなど、現地の文化や社会制度に合わせてアジャストできれば、受け入れられる可能性は高くなる。
一方で、アダプテーションが製品やサービスの魅力を削り、大失敗に終わったケースは数えられないぐらいある。
アダプテーションもまた、あくまでビジネス機会を見つける手法であって成功法則ではない。
3つ目の「アグリゲーション」は生産の集約化、製品やサービスの一本化などで戦略を作る考え方のこと。
例えば、iPhoneのように全世界で同じ製品を売り、同じ生産工場を使い、余計な手間とコストをかけずにビジネスを行う方法だ。
他にも、生産拠点をある国に集約したり、コールセンターを1カ所にしたりといくつかのパターンがある。
集約することでコストを抑えたままビジネスを行えるのは魅力だ。
しかし、実現にはハードルが高く、すべてのグローバル企業にとって選択肢にはならないだろう。
M&Aの資料を見ているとアグリゲーション実現を前提にし、「捕らぬ狸の皮算用」な価値創造試算を目にすることがある。
加えて、Adaptation(現地適応)、Aggregation(集約化)、Arbitration(差異活用)の3つのAは、一般的にはトレードオフの関係になりやすい。
例えば、製品のAdaptation(現地適応)を推進して、仕様を国や地域に合わせていくと、Aggregation(集約化)は難しくなる。
そういう場合は集約化する部分と現地適応する部分を分けて、対応を考えていく。以上、ここまで。P75~77。
非常に参考になるフレームワークです。
ちなみに、ArbitrationはArbitrage(アービトラージ。裁定取引)の派生語です。
裁定取引とは、同じモノが異なる価格で取引されている状況を利用して、儲けることを言います。
「同じレベルのモノなら、同じ値段がつく」のが合理的ですが、世の中、そうではありません。
同じモノでも、取引される場所によって、価格が違います。
理論上は裁定取引が活発に行われれば価格差が縮まりますが、現実は取引コストなどにより、価格差が残ります。
そんな世の中の不合理な世界にこそ、裁定取引のチャンスがあります。
また、戦略を立てる際に重要なキーワード「メガトレンド」(世界の在り方を形づくるほどの力を持った経済のマクロ的な動き)があります。
ドイツのシーメンス社のメガトレンドは以下の5つです。
「大前研一IoT革命」から引用します。
1 デジタル・トランスフォーメーション(デジタルやITの力を使った変革。デジタル化)
2 グローバリゼーション(社会的あるいは経済的な関連が旧来の国家や地域の枠組みなどを超えて地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象。グローバル化)
3 アーバニゼーション(都市化)
4 デモグラフィック・チェンジ(人口動態)
5 クライメイト・チェンジ(気候変動)
これらのメガトレンドをベースに対応していくというのが、シーメンスの戦略です。
たとえば、気候変動を考えると、パワージェネレーション(発電)という切り口が出てきます。
シーメンスが風車に対して、大きな投資を行っているのはそのためです。
人口動態に対しては、ヘルスケア事業があります。
アーバニゼーションには、グリッド(送電網)やビルテクノロジー、エネルギー・マネージメントといったインフラ事業で対応しています。
グローバル化とデジタル化、それから都市化にも関係する事業が、ファクトリー・オートメーション(工場の自動化)です。
このメガトレンドの中で、シーメンスが最も力を注いでいきたいと考えているのがデジタル化です。
マーケットのトレンドをみると、オートメーション化の市場成長率は4~6%、同じくエレクトリフィケーション(電化)は2~3%、これに対しデジタル化の領域は7~9%という大きな市場成長率が見込まれているからです。以上、ここまで。
デジタルトランスフォーメーションは、「人間が行うことを前提に、最適化されたビジネスプロセスから、機械が行うことを前提に最適化された、ビジネスプロセスへの転換」という意味です。
デジタルトランスフォーメーションは、「サービス化」「オープン化」「ソーシャル化」「スマート化」の4つの変化を生み出します。
詳しくは、「未来を味方にする技術」のP120~125をお読みください。
メガトレンドという視点も、参考になりますね。
ちなみに、同じ本からの引用・まとめですが、デジタル・ビジネスモデルの成熟度が高い産業は上から、
メディア、トレード(商業)、モビリティ(交通)、ヘルスケア、マニュファクチュアリング(製造)、電力・エネルギー
となっています。
製造業はデジタル・ビジネスモデルの進行が遅いということですね。
外部環境分析では、どこの産業で戦うか、SWOT分析、「戦略にこそ「戦略」が必要だ」という本の分類、両利きの経営の紹介、「CAGE」と「AAA」のフレームワーク、メガトレンドを挙げました。
他にもPEST分析やPPMなどがあります。(ググれば出てくるビジネスの常識情報ですので省きます)
ではこの辺で。(4198文字)
このブログは個人的見解が多いですが、本・記事・YouTube動画などを元にしつつ、僕の感性も加えて、なるべく役立つ・正しいと思われる記事を書いています。
あくまで読者がさらに深く考えるきっかけとなればいいなぁという思いですので、その辺は了解ください。
参考・引用文献。
「入社10年分の思考スキルが3時間で学べる」
「大前研一IoT革命」
「デジタル・トランスフォーメーション」
「未来を味方にする技術」